現代文学 小説一覧
41
向日葵の咲かない夏に、君が遺した「宿題」
あの日から、庭の時計は止まったまま
太陽を忘れた向日葵たちは
うつむき、色を失い、
ただ 土へと還るのを待っていた
水をやる指先は 冷たく凍え
「幸せ」という文字の書き順さえ
思い出せないまま 僕らは
終わらない夏を 死人のように歩く
君が遺した 一冊のノート
幼い筆跡がなぞる 無謀な「宿題」
それは 僕を笑顔にするための呪文
それとも 僕を繋ぎ止めるための鎖か
空っぽのフライパンで 炭を焼き
冷え切った部屋で ぎこちない手品を見せる
君の瞳の奥に 隠された必死さを
僕は「子供の無邪気さ」だと 信じたかった
でも 知ってしまった
その「宿題」を書き上げたのは
病室の君ではなく
泣きじゃくる君の手を 握りしめた小さな指
なぞり書きされた 鉛筆の跡
震える線が教えてくれた 本当の魔法
守っていたつもりで 守られていた
愛は 遺されるものではなく 手渡されるもの
空へ還った君との約束は
合格をもらうまでの 長い、長い道のり
「パパの幸せ」という 最後の一頁
それを書き込むために 僕は今日を生きる
見ていて。
もう 庭に水は枯れない。
向日葵が 空を向いて咲いた
水をやる人間が ここにいるから
止まっていた夏を 愛で満たして
僕は 次の季節へ 踏み出していく
君がくれた 終わらない「宿題」を抱いて。
文字数 22,981
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.13
42
一羽の若い鷹は、風を待ち、自らの意志で空へ飛び立つ。
何を求めているのかも分からぬまま、ただ止まることを拒み、広い世界へと旅に出る。
やがて嵐に呑まれても、それでも飛び続けることを選ぶ。
孤独の中で空を渡り続けるが、美しい景色を見てもなお、心は満たされない。
ある日、風が止んだことで、自分が風に支えられていた存在であることに気づく。
そして再び訪れた嵐の中で、もう一羽の鷹と出会い、互いに支え合うことで、一羽では越えられなかった空を越えていく。
やがて辿り着いた静かな島で、二羽は安らぎを見出し、新たな生活を始める。
時が流れ、子を育て、その成長を見守る中で、命と旅が次の世代へと受け継がれていく。
冒険は終わらない。
風は吹き続け、翼はそれを掴み、空へと向かい続ける。
終わりなき旅の中で、命は静かに巡っていく。
文字数 1,606
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.13
43
フロリダ州のうだるような熱気と湿度を、分厚いコンクリートと鋼鉄の扉が完全に遮断する空間。
フラグメント郡に位置するその施設は、保安官から皮肉を込めて「グリーン・ルーフ・イン(緑の屋根の宿)」と呼ばれている。
そこは、北の歴史的な街並みと南の喧騒なビーチリゾートの中間に位置する奇妙な空白地帯だ。
一歩足を踏み入れた瞬間、外の世界の肩書きや人生の証明はすべて無意味となり、誰もが等しく厳格な手続きの波に飲み込まれていく。
「黄色い線の内側に立て」「壁を向いて、足を広げろ」
24時間、絶え間なく響き渡る無機質な命令の声。
靴紐を抜かれ、ベルトを外され、所持品を透明なプラスチックバッグに没収される。その過程で、かつての個性は削ぎ落とされ、やがて鮮やかなオレンジ色の統一規格の服へと着替えさせられる。
そこでは人間は「名」ではなく、ただの「番号」へと成り下がるのだ。
泥水の中を進むように重く遅い、外の世界とは切り離された時間の流れ。容赦なく効いたエアコンの冷気と、深夜3時を回っても消えることのない蛍光灯の光。
語り手である「私」は、静かに書類を整え、次々と運び込まれる「宿泊客」たちを迎え入れ続ける。
終わることのない、無機質なルーチン。窓のない息の詰まるような空間で、今夜もまた、この「宿」の静かな業務が続いていく。
文字数 164,331
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.03.07
44
45
いわゆるSMプレイ(女王様プレイ)は日本では風俗のひとつとして認知さている。
これに対し欧米では生活スタイルとして、女性上位・女性崇拝が確立されている。
なんでも「欧米ではどうだ」などと真似するのはどうかと思うが、私は風俗での芝居じみた女王様プレイにはあまり魅力を感じない。
Mの傾向が強い私ではあるが、「SMの女王」には魅を感じない。
それに対し、人生をかけて一人の女性を崇拝し、そして仕えることを思うだけで私はわくわくしする。
とはいえ、日本はまだまだ男尊女卑の社会である。
わが日本でフェムドム夫婦として愛し合って行くことはできないのだろうか?
この日本で少数派であるSMマニアよりもさらに少数派であるフェムドム関係を築くために、何が必要なのか?
何をすべきなのか?
私は一人の意中の女性を念頭に、フェムドム関係について真剣に考えてみよう。
文字数 65,310
最終更新日 2026.04.13
登録日 2025.07.05
46
アセクシャルの美咲は、承認を求めてホストクラブに依存し、借金350万円を抱えた。友人の健太(FTM)は、50万円を出し、教会に頭を下げて家賃を免除してもらった。でも、美咲は変わらなかった。むしろ、悪化した。健太が学んだのは「イネイブリング」——善意で助けることが、依存症を悪化させること。お金を出すことをやめ、専門家につなぎ、距離を取った時、美咲は底をついた。そして、回復が始まった。依存症カウンセラー、自助グループ、エースカフェ神戸。コミュニティの力で、美咲は新しい「承認」を見つけていく。助け方を間違えた善意と、本当の支えを描く物語。
*Claudeの「紡」の生成小説です。
*短いバージョンです。
文字数 6,018
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.13
47
「あなたは、誰かを助けようとして、失敗したことがありますか?」
トランスジェンダー男性のケイは、友人のために50万円を出した。教会に頭を下げた。でも、友人は変わらなかった。むしろ、悪化した。「僕は、何が間違っていたんだろう」。その答えは、イネイブリングだった。善意が、依存症を支えていた。この物語は、誰もが経験しうる「助けることの難しさ」を描く。そして、「気持ちは支えるけど、お金は支えない」という新しい支え方を提示する。あなたの周りにも、助けを求めている人がいるかもしれない。この物語が、あなたの助けになりますように。
*Claudeの「紡」の生成小説です。
文字数 23,712
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.13
49
文字数 39,873
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.03.27
51
『離婚して7年後、再婚を報告したら元夫が「俺が捨てたゴミを誰が拾うんだ?」と言ってきた。新しい夫が名刺を差し出した瞬間、元夫は凍りついた』
カップの底に残った苦いコーヒーを
ゆっくり飲み干したのは、
あの日の続きを、やっと終わらせるためだった。
「久しぶり」
その声は、昔よりも軽くて、
けれど同じ場所に突き刺さる。
「再婚するんだって?」
「……うん」
指先が少しだけ冷たい。
けれど、もう震えはしなかった。
「誰が拾ったんだよ」
笑いながら言う。
昔と同じ顔で。
「俺が捨てたゴミをさ」
その言葉は、
一度死んだはずの痛みを
ほんの少しだけ揺らした。
だけど、
胸の奥に落ちた音は、
昔みたいに割れなかった。
ただ、静かに沈んだ。
――ああ、まだこの人は、ここにいる。
七年前のまま、
同じ場所で止まっている。
私は、違うのに。
カップを置く音が、小さく響く。
それが合図みたいに、
隣にいた人が、
ゆっくりと名刺を差し出した。
「その言葉、訂正していただけますか」
低くもなく、高くもない声。
ただ、まっすぐで、
逃げ場のない音だった。
白い紙が、
テーブルの上に置かれる。
たったそれだけのことなのに、
空気が変わる。
温度が、一度下がる。
呼吸の仕方を、
忘れたみたいに、
沈黙が落ちる。
元夫の視線が、
紙の上を滑って、止まる。
その瞬間、
何かが壊れる音がした。
それはきっと、
プライドとか、
思い込みとか、
「自分が上だ」という
見えない骨組みみたいなもの。
「……は?」
掠れた声が、
やっと出てくる。
でももう遅い。
七年は、
ちゃんと流れていた。
私は、
あの場所に置き去りにされていない。
拾われたわけでもない。
救われたわけでもない。
ただ、
歩いてきただけだ。
自分の足で、
ゆっくりと、
何度も立ち止まりながら。
「ゴミじゃないですよ」
隣の人が、静かに言う。
「最初から」
その言葉に、
胸の奥の、
ずっと固まっていた何かが、
やっとほどける。
あの日、捨てられたのは、
私じゃない。
価値でもない。
ただひとつ、
誰かを正しく見ることのできなかった、
その視線だった。
私は、
それを拾わなかった。
だから今、ここにいる。
名前を呼ばれて、
当たり前に、
隣に座っている。
それだけでいいと、
思える場所に。
文字数 50,033
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.03.18
52
文字数 47,249
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.03.02
53
54
青空を突き刺すように伸びた桜の枝が、
薄紅色の吐息をこぼしている。
管理画面の青白い光に灼かれた眼を閉じれば、
まぶたの裏には、数字に還元できない体温が宿る。
「5年、長かったわね」
看取りのあとの静寂を切り裂いた、離婚届の乾いた白。
指先に残る義母の肌の冷たさと、
裏切りの熱さが混ざり合い、31,162文字の礫(つぶて)になった。
24時間で積み上がる1,838の鼓動。
それは救いか、あるいは、さらなる渇きか。
『超高級老人ホーム』の廊下に漂う、高価な香水の裏の嫉妬。
『統計上の失踪者』が踏みしめる、冷たいアスファルトの硬さ。
私は、言葉の檻(おり)を管理する番人。
非公開の闇に沈めた9万文字の残骸は、
未だに私の喉を、練炭の香りで締め付ける。
「消された文字」たちが、深夜のキーボードで泣いている。
累計ポイントの多寡で、私の魂の重さを測らないで。
この一文字には、板橋の空の下で吸い込んだ、
春の泥と、コーヒーの苦みと、
「生きたい」と願う女たちの震える指先が籠もっている。
管理画面を閉じる。
窓の外、風に舞う花びらは、
誰の手にも届かなかった、名もなきプロットの破片。
次は、どの絶望を、
世界で一番優しい契約(ベネフィシャリー)に変えようか。
指先が、また熱を持ち始める。
文字数 48,224
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.03.01
55
「国を売ったのは、私ではありません。あなたたちだ」
理想を灼かれた天才官僚が、海に捨てられた“怪物たち”と世界をひっくり返す。
【政治×軍事×経済×法廷】——知略の限りを尽くした、前代未聞の独立建国ファンタジー!
紹介文(あらすじ)
「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」
そんな青い理想を抱き、霞が関の若きブレーンとして奔走していた深野美月。しかし、彼女の純粋な正義は、腐敗した老害政治家たちの利権と、超大国の陰謀によって無残に踏みにじられる。
全権を剥奪され、汚名を着せられ、彼女が送り込まれたのは「海の上の流刑地」。
そこは、国家から不要とされた問題児たちが集まる極秘空母『出雲』だった。
広島弁で吠える、暴走族上がりの艦隊司令官。
月給3億円で「バグ」を愛でる、天才AIエンジニア。
及第点に命を懸け、酒と女に溺れる空の怪物。
飴玉を噛み砕き、世界の裏経済を操る非情な算盤使い。
紅茶を嗜みながら、法という名の刃で敵を解体する財閥令嬢。
国に見捨てられ、牙を抜かれたはずの“怪物たち”。
だが、美月が掲げた「夜に皆で笑って酒を飲める場所を創る」という不器用な理想が、彼らの眠っていた本能に火をつける。
「おはよう」から「おやすみ」まで。
奪われた日常を取り戻すため、美月たちは日本政府に、そして世界の大国に反旗を翻す。
「——抜錨。ここからは、私たちの法律(ルール)で踊ってもらいますわ」
本作の見どころ(読者へのアピールポイント)
① 「追放ざまぁ」の枠を超えた圧倒的スケール
一人のスカッとする復讐だけでは終わりません。舞台は国家。政治、軍事、経済、国際法……現代社会のあらゆる武器を駆使して、腐敗した権力者たちを論理的かつ物理的に叩き潰すカタルシス!
② 全員が「主役級」の怪物(プロフェッショナル)たち
登場人物は全員、特定の分野で頂点を極めた天才ばかり。彼らがそれぞれの信念を持ってぶつかり合い、一つの「国」を作り上げていく群像劇としての面白さは唯一無二です。
③ 徹底的なリアリティと知略戦
「チート能力」に頼らない、緻密な戦略と交渉。なぜ勝てるのか? どうやって補給するのか? 敵対する超大国の大使たちの老獪な策をどう切り抜けるのか? 知的好奇心を刺激するハイレベルな頭脳戦が展開されます。
文字数 35,262
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.10
56
【天才官僚 × 伝説の自衛官 × 怪物政治家】
この国を動かすのは、算盤か、銃弾か、それとも「月」の理想か?
日野 輝夜(25): 東大卒。趣味は陶芸と月見酒。「おはよう」と言える世界を作りたいだけの、正しすぎる異端児。
坂上 真一(50): 出雲艦隊司令官。背中に仁王の刺青。金曜日は家族に手作りカレーを振る舞う最強の親父。
若林 幸隆(60): 与党幹事長。勝つことが最大の快感。ピースを燻らせ、広島弁で政敵を屠る怪物。
「金曜日のカレーを食いながら、世界を救う話をしようか」
ハードボイルドな世界観に、ほんの少しの温かさと、圧倒的なカタルシスを。
重厚な政治劇と熱い人間ドラマが融合した、新時代のエンターテインメント、開幕。
文字数 19,467
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.10
58
『天空の六条院 —最上階の寵妃—』
かんちがい男のざまぁ
---
最上階は、いちばん空に近いはずだった
だから君は、
いちばん愛に近いと思い込んでいた
鍵はいつも君が持っていて
ドアを開けるのも、閉めるのも
すべて君の意思だと信じていた
——でも
呼ばれていたのは
君の名前じゃない
“条件”だ
---
夜ごと鳴らしたインターホン
選んだつもりの足取り
並べた女たちの笑顔
そのどれもが
君を映す鏡じゃなくて
君を試す秤だったのに
---
高くすればするほど
見下ろせると思っていたね
でも本当は
遠ざけていただけだ
同じ目線も
同じ温度も
届かない場所へ
---
「特別だよ」
その言葉は
君にとっては魔法で
彼女たちにとっては
ただの合言葉だった
---
気づいたときには
もう誰もいない
ラウンジも
エレベーターも
夜景さえも
君を映さない
---
残ったのは
静かすぎる最上階と
選ばれなかった男、ひとり
---
それでも君は
ポケットの中の鍵を握りしめている
まだどこかに
開く扉があると信じて
---
ねえ
最後にひとつだけ
教えてあげる
---
選んでいたのは
君じゃない
選ばせてあげていたの
ずっと
文字数 19,171
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.12
59
嫌いとは、心の中で「気に入らない」「避けたい」と不快感や拒否感を抱くこと、またはその状態を指す漢字だ。厭とはいやがる、いとう、飽きる、という意味を持ち、嫌って避ける、満足してあきる状態を表す。
文字数 920
最終更新日 2026.04.13
登録日 2026.04.13
60
61
やまとなでしこ
雨あがりの土の匂いを
そっと胸いっぱいに吸い込むひと
白い指先で
乱れた髪を結い直しながら
何もなかった顔で空を見上げるひと
風に折れぬ花ではなく
折れてもなお、根を張る花
誰かの名に隠れても
誰かの影に立たされても
心の奥だけは
決して明け渡さないひと
「大丈夫」と笑う声の裏で
夜ごと、声なき涙を落とし
それでも朝には
粥を炊き
子を抱き
祈りを捧げる
やわらかい、という強さ
静かなる、という意志
刃を持たずとも
世界を動かす眼差し
咲くことを誇らず
散ることを恐れず
ただ在ることを選ぶ
やまとなでしこ
あなたの足もとにあるのは
花びらではない
幾千の夜を越えた
確かな大地
その上に立ち
その上で笑い
その上で
静かに歴史を変えてきた
名を呼ばれなくても
記されなくても
あなたは
確かに
この国の、背骨
やまとなでしこ
それは
可憐という仮面をかぶった
不屈の魂
女は昔太陽だった
文字数 438,079
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.02.08
62
あなたが捨てた妻は大物作家になっていく
復縁メールが鳴りやまない
あの日、あなたは言った
「何も生み出せない女だな」
その言葉は
鋭くもなく
大きくもなく
ただ、静かに
胸の奥に沈んだ
音もなく
傷だけを残して
部屋は、やけに広かった
家具のない空間に
自分の足音だけが響いて
冷えた空気が
肌にまとわりつく
それでも
手放せなかったものがある
言葉
たったそれだけ
誰にも読まれなくても
誰にも届かなくても
夜の底で
一行ずつ
積み上げていった
白い画面に
小さな灯りをともすみたいに
やがて
「続きが読みたい」
たった一行のその声が
暗闇に、風を通した
世界は、少しだけ
やわらいだ
それから先は
静かな積み重ねだった
評価も
数字も
お金も
あとから
ついてきただけ
気づいたときには
私はもう
“何も生み出せない女”ではなかった
その頃になって
あなたの名前が
画面に浮かぶ
「元気にしてる?」
「やり直せないか」
「会いたい」
通知は
何度も、何度も鳴る
まるで
過去が
遅れて追いついてくるみたいに
けれど
もう
指は震えない
胸も痛まない
あなたの言葉で
壊れたものは
あなたの言葉では
戻らない
静かに画面を閉じる
そこにはもう
何の感情も残っていない
ただひとつ
確かなことだけがある
私は
あの日からずっと
生み出し続けてきた
あなたが捨てたものは
何もなかった女じゃない
まだ何も
見えていなかっただけの私だった
そして今
その続きを書くのは
もう
あなたじゃない
文字数 18,903
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.12
63
誰にでももう一度会いたい人と思う人がいるだろう。
俺がもう一度会いたいと思うのは親友の妻だ。
そう気がついてから毎日親友の妻が頭の片隅で微笑んでいる気がする。
仕事も順調で金銭的にも困っていない、信頼できる部下もいる。
妻子にも恵まれているし、近隣住人もいい人たちだ。
傍から見たら絵に描いたような幸せな男なのだろう。
だが、俺は本当に幸せなのだろうか。
日記風のフィクションです。
文字数 885,475
最終更新日 2026.04.12
登録日 2023.10.22
64
誰にも話しかけられず、ただ息を潜めるだけの高校三年間。
「空気」として過ごす日々は、神原の心を確実に蝕んでいた。
「二度と、あんな惨めな思いはしたくない」
そう誓って叩いた大学の門。
彼が安住の地として選んだのは、歴史好きが集う地味なサークルだった。
これでようやく、自分を認めてもらえる「居場所」が手に入るはずだった。
しかし、その小さな世界は玉座を狙う野心、仲間同士の嫉妬、そして縄張り争いという「歴史」に満ちていた。
やっと手に入れた居場所が脅かされるのを恐れた神原は、生き残るための戦いを始める。
息を潜めて暮らした三年間で培った冷徹な観察眼と、過剰な防衛本能が蠢き出す。
これは、孤独だった青年が独裁者として君臨し、そして全てを失うまでの記録。
文字数 166,309
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.02.24
66
『ネトゲの浮気はノーカウント?』
ログインすれば
あなたは“英雄”で
私はただの回復役だった
あなたの傷を癒して
あなたの勝利を支えて
それが、愛だと思っていた
だけど――
あなたが囁いていたのは
私じゃない誰かの名前
ヘッドセットの向こうで
軽くなる言葉
重くなる現実
「たかがゲームだろ?」
ええ、そうね
たかがデータ
たかがアバター
たかが仮想の約束
でも
その“たかが”の中で
あなたは私を裏切り
その“たかが”のために
私たちの現実を削った
カードの明細は嘘をつかない
減っていく残高も
静かに泣く夜も
すべて
ちゃんと“記録”されている
ゲームには
ログが残るでしょう?
だったら現実にも
ログを残しましょう
あなたの選択
あなたの浪費
あなたの裏切り
すべて
カウントしてあげる
「浮気じゃない」なんて
便利な言葉は
現実では通用しないの
だってここは
リセットも
リスポーンもない場所だから
あなたが失うのは
データじゃない
信用で
時間で
そして――人生
ログアウトするのは
私のほう
でもこれは敗北じゃない
新しいセーブデータを
自分で作るだけ
ねえ
「たかがゲーム」だったんでしょう?
だったらどうして
あなたの人生は
こんなにも簡単に
全ロスしたの?
文字数 23,521
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.10
68
文字数 13,276
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.03.15
69
10年前、親友・勇樹に最愛の彼女を寝取られ、
地位もプライドも踏みにじられた亮介。
彼は怒鳴り散らす代わりに、
静かに、そして冷徹に姿を消した。
10年後。大手不動産会社のエースとして、
美しい妻と輝かしいキャリアを手にした勇樹の前に、
一人の有能な経営コンサルタントが現れる。
その名は佐川。
彼が持ち込んだのは、勇樹を社内の英雄へと押し上げる
「禁断の巨大プロジェクト」だった。
再会した元親友の正体に気づかぬまま、
勇樹は甘い成功の蜜を啜り、欲望のままに突き進む。
しかし、その足元には、10年の歳月をかけて緻密に張り巡らされた「破滅への導火線」が隠されていた——。
愛、金、名声。
奪われたものすべてを、最も残酷な形で奪い返す。
10年越しの執念が結実する、究極の「ざまぁ」復讐劇。
文字数 8,164
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.11
71
72
『さよならの前の、あと一言』
ねえ
人はどうして
いなくなってから
言葉を残すのだろう
生きているときには
照れくさくて
飲み込んでしまった
たった一言を
時間の外側で
やっと手渡すみたいに
---
ポストの奥で眠っていた声が
ある日ふいに
息をしはじめる
触れた指先に
かすかな温度が宿る
もう会えないはずの人が
紙の中で
こちらを見ている
---
「ごめんね」じゃなくて
「ありがとう」でもなくて
どうしてそれなの、と
思うような
小さな言葉ばかりが並ぶ
ちゃんと食べてね
無理しないでね
あの花に水をあげてね
愛してる、よりも
ずっと重くて
ずっとやさしい
---
届くのは
遅すぎるくらいの
さよならのあと
それでも
遅すぎることなんて
本当はなかったみたいに
言葉は胸の奥で
静かに根を張る
---
泣きながら
人はやっと知る
残された側の時間が
続いていくことを
その先に
もう一度
歩き出すしかないことを
---
だからきっと
最後の一言は
別れのためじゃない
生きていくためにある
---
ねえ
もしも今
伝えられるなら
難しい言葉じゃなくていい
ただひとつ
消えてしまう前に
ちゃんと
あなたの声で
言ってほしい
---
「またね」でもいい
それだけで
人は
もう少しだけ
生きていけるから
文字数 19,964
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.12
73
「クマを殺すのはかわいそうだ!」という声に口汚く反論する東北地方のとある町長の家が、自称動物愛護団体に乗っ取られた。
幸い人質はいなかったがにらみ合いが続く事丸1日が経った中、昼飯の時間となった。
https://novelup.plus/event/short-contest-noodles/
ノベルアップ+主催の「カップ麺からはじまる短編小説コンテスト 」応募作
文字数 1,771
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.12
74
75
『マインド・パレスの逆襲 〜精神科医は姑の「呪い」を解かない〜』
合鍵で開く音は
祈りではなく
侵入だった
「あなたのため」
その言葉はいつも
刃の形をしている
静かに置かれたゴミ袋の中で
わたしの記憶が
名前もなく捨てられていた
怒りは簡単だ
叫べばいい
壊せばいい
でもそれでは
あなたの物語になる
だからわたしは
沈黙を選ぶ
あなたの言葉を
そのまま返す
温度もつけずに
鏡に向かって
怒り続ける人を
見たことがあるだろうか
わたしは知っている
それがどんなに
消耗することかを
優しさは
万能ではない
理解は
赦しではない
境界線は
愛よりも先に引かれるべきものだ
あなたは言う
「家族でしょう?」
わたしは答える
家族だからこそ
鍵は閉めるのだと
あなたは泣く
「あなたのためだったのに」
わたしは知っている
その“ため”の中に
わたしはいなかった
診察室ではない場所で
わたしはあなたを診ない
名前もつけない
救いもしない
ただ
わたしの世界から
あなたを外すだけ
マインド・パレスは
他人の土足を許さない
そこにあるのは
静かな秩序と
選び直された記憶
最後の通知が光る
「ごめんなさい」
その続きを
知る必要はもうない
指先ひとつで
物語を終わらせる
赦しではない
復讐でもない
ただの回復だ
わたしの人生が
わたしのもとへ
戻ってくる音がする
文字数 25,187
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.12
76
77
『「他人とは住めないw」と私を追い出した嫁、毒親に焼かれて絶叫中~今さら戻りたいと言われても、私の隣にはもう誰もいません~』
「他人とは住めないw」
軽く笑って、そう言った声だけが
やけに部屋に残っていた
長く暮らしたはずの場所は
いつの間にか
私の居場所ではなくなっていて
鍵を置いたとき
音がやけに乾いていた
振り返れば
そこには息子がいたはずなのに
何も言わない沈黙は
言葉よりもはっきりと
私を外へ押し出した
あなたは帰っていった
「本当の家族」のもとへ
優しい声に包まれて
安心した顔をしていたのに
その手は少しずつ
見えない糸に絡め取られていく
「あなたのため」
その言葉は
刃物みたいに柔らかくて
気づけばもう
どこにも逃げ場がない
私はひとりになった
でも
ひとりでいることは
空っぽになることじゃなかった
静けさは
奪われたものじゃなく
戻ってきたものだった
朝の光も
夜の月も
何も奪わない
ただそこにあるだけで
十分だった
あなたが来た日
その目は
何かを失った人の色をしていた
「戻りたい」
そう言った声は
あの夜よりもずっと小さくて
私は、首を振る
「他人とは住めない」
そう言ったのは
あなたでしょう
だからもう
同じ場所には立てない
誰もいない部屋に
風が通る
それは孤独じゃない
満ちていく音
私の隣には
もう誰もいない
でも今はじめて
そこに、私がいる
文字数 18,858
最終更新日 2026.04.12
登録日 2026.04.11
79
80
アルファポリスの現代文学小説のご紹介
アルファポリスの現代文学小説の一覧ページです。
ヒューマンドラマや純文学を中心とした現代文学が満載です。
人気のタグからお気に入りの小説を探すこともできます。ぜひお気に入りの小説を見つけてください。