「時計」の検索結果
全体で653件見つかりました。
祖母が袖を詰めた古い制服に、祖母のICカード。40分バスに乗って通う編入生の私を、名門・綾嶺学園の1年3組は、ひと目で「特待生」だと決めつけた。
「特待生はここ」――足で押された椅子の先は、最後列のゴミ箱の隣。
前の晩、父には電話でこう言われていた。
「学校では、セイラントグループの娘という肩書を置いて、鈴木瑶でいなさい」
だから私は、何も説明しない。椅子を少しだけ戻して「ありがとう」と座り、記念行事費は一万円札3枚で払う。
学食では「特待生は下で食べて」。中間テストで1位を取れば「写したのよ」。
祖母が30年ピアノを教えたこの学校で、旧音楽準備室に残る祖母のピアノには「処分」の紙が貼られた。保護者会では、杖をついて来た祖母に、PTA会長が年金の額を尋ねる。
隣の席には、何も聞かずに丸パンを半分くれる子が一人だけいる。
12月、500万円するという腕時計が、私の机の中から出てきた。
「警察に通報してください」
返ってきたのは、処分が決まるまでの自宅待機3日。
待機の3日目、祖母宛てに白い封筒が届く。
創立記念式典 12月6日 午後6時 特別招待 倉橋芙佐子様 ご家族同伴可
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
文字数 19,910
最終更新日 2026.10.27
登録日 2026.10.25
「前の妻の部屋には入るな。君に求めるのは、伯爵夫人という形だけだ」
嫁いだ日、旦那様はそう仰いました。
侍女頭は止めたままの時計の前で「前の奥様なら」と繰り返し、お義母様は優しく微笑みながら、姪御さんのお話ばかりなさいます。
ええ、構いません。前の奥様のお部屋に入るつもりもございません。
ただ、七つになるお嬢様だけが、毎晩こっそり本を抱えて私の部屋へやって来ます。
「お母様の本。読んで」
その余白には、前の奥様が誰にも言えなかったことが綴られていました。花壇をなくすように言われた日。抱いた娘を、返してもらえなかった日々。
私は何も申しません。お父様に読んでさしあげると決めたのは、お嬢様ですから。
止まった時計が動きだす朝、このお屋敷でいちばん青ざめるのは、どなたでしょうね。
文字数 88,943
最終更新日 2026.10.27
登録日 2026.10.21
わたくし、エリシア・ヴァルデンには魔力がありません。社交界では「ヴァルデンの石ころ」と呼ばれています。
そのかわり、8歳のときから、魔法のかかったものの上に砂時計が見えます。砂が落ちきれば、その魔法は切れます。止めることも、足すこともできません。
そして、わたくし自身の頭の上にも、10年前から砂時計が浮いています。落ちきるのは今夜、王太子殿下の成人前夜の舞踏会。てっきり、自分の寿命だと思っておりました。
最後の晩くらいはと着飾って向かった舞踏会で、殿下はわたくしに婚約破棄を告げました。腕には「聖女さま」。
――けれど殿下。あの方の光にも、痣にも、侍女にも、砂時計が乗っておりますのよ。しかも、どれも残りわずか。
ですから、どうぞごゆっくり。罪状は、一つずつ伺いますわ。
文字数 98,911
最終更新日 2026.10.29
登録日 2026.10.03
北海道ニセコの山中に佇む豪奢な洋館。
別荘地として有名なその場所に集められた『幻影倶楽部』のメンバーたちを襲ったのは、ギリシャ神話の神々に見立てられた凄惨な連続殺人だった。
完璧な密室空間に充満する毒ガス、不可視の領域から放たれた凶弾、そして犠牲者が出るたびにひとりでに文字盤を赤く染めていくアンティーク時計。
まるで魔法のように実行される不可能犯罪の数々は、逃げ場のない生存者たちを深い疑心とパニックへと陥れていく。
血塗られた惨劇の渦中において、ただ一人、静かなる悲壮感を湛えて事象を見据える少女がいた。
幻の奇術書『オリジナル・マニュスクリプト』の行方を追う現役女子大生・香月乃愛(こうづき・のあ)。世界屈指の天才奇術師である彼女にとって、人々に喜びを与えるべき奇術が殺戮の道具に貶められた事実は、耐えがたい冒涜であった。
奇術を汚す行為を決して許さない彼女は、犯人が神の奇跡だと誇る殺人劇のベールを次々と剥ぎ取っていく。
空間の力学、生化学反応、そして人間の認知機能の死角。彼女の圧倒的な知識は、超常的な不可能犯罪を『物理と化学に支配された三流のギミック』へと解体し、事象の構造美だけを抽出していく。
欺瞞に満ちた洋館を支配しているのは何者か。
幾重にも張り巡らされた心理的死角(ミスディレクション)がすべて剥がれ落ちた時、盤面の裏側に隠されていた最も残酷な真実が姿を現す。
奇術への愛と悲哀が交錯する、本格ミステリの新たな到達点。
文字数 205,169
最終更新日 2026.10.26
登録日 2026.08.30
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】
「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」
そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。
しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!?
死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。
目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”!
剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に――
そう、全部は「異世界で生きるため」!
そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。
ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”!
「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」
未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く!
※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!
文字数 300,485
最終更新日 2026.02.08
登録日 2025.07.30
東京の下町に佇む古物商『時洲堂』。
そこで一人暮らす二十歳の店主・時洲美波の朝は、近所で金物工房を営む三枝夫婦が運んでくる食事から始まる。
穏やかな日常を送る彼女の元に、古物界の生ける伝説・神谷宗珠から一通の招待状が届いた。
それは、山奥の湖畔に建つクラシックホテル『ホテル・クロノス』で開催される、選ばれた者だけのシークレット・オークションにて、出品物の真贋を見極めよという依頼だった。
外界から隔離された美しくも重厚な白亜の洋館には、富と名誉に執着する曲者たちが集結していた。
美波が極上のフレンチディナーを堪能した晩餐の最中、突如としてホテルへ続く唯一の吊り橋が崩落する。
さらに猛吹雪によって通信網も切断され、洋館は完全なる陸の孤島と化した。
優雅な夜は一転、見えざる悪意が潜む逃げ場のない密室へと姿を変える。
果たして美波は、無事に日常へと帰還することができるのか──。
文字数 65,386
最終更新日 2026.10.29
登録日 2026.10.19
誰かの心に、そっと灯りをともそう。
皆川市、つむぎ橋商店街。
その一角に、小宮探偵事務所はある。
所長の小宮まひろのもとに舞い込むのは、友人とのすれ違い、いなくなった子猫、古い時計店にまつわる不思議な噂――。
一見すると、どれも小さな謎ばかり。
けれど、その謎を解き明かしたとき、見えてくるものは、思いもよらなかった誰かの本当の気持ち。
相棒の篠原とともに、まひろは人々の話に耳を傾け、謎の向こうに隠された想いを探っていく。
真実がわかれば、それですべてが解決するわけではない。
すれ違っていた気持ちが通じ合うこともあれば、忘れかけていた夢を思い出すこともある。
真相を知ったとき、昨日までとは違って見える景色がある。
商店街に暮らす人々の、言葉にならなかった想い。
そして、長年の相棒であるまひろと篠原が重ねていく、何気ない日常。
ひとつの謎が解けるたび、人と人とのつながりは、少しずつ形を変えていく。
小さな謎の向こうに、誰かの言えなかった想いがある。
これは、つむぎ橋商店街の探偵事務所で紡がれる、人と人との物語。
文字数 13,205
最終更新日 2026.10.29
登録日 2026.10.27
御挨拶
わたくし、五十路を駆け出した人妻でございます。
私の小説に目をつけて頂き、ありがとうございます。
私の場合、小説といいますか、反自叙伝を書き綴ったといいますか。半分は空想、妄想、半分は実体験でございます。
SEXに全く無関心で無知だった私がここまでのM女へと育て上げられました過程でもございます。これまで絶対的に不可能な異世界でも疑似ですが実行し、空想妄想を経て、凡ゆる経験を得て悶え濡れる日々を送ってきております。
もちろん、普段は普通の熟した人妻でございます。
女性の方は自分に置き換えて下さい。
男性の方は、私を犯してみて下さい。
パートナーを私に置き換えてみて下さい。
「妄想」「想像」「空想」は違うのです。
「想像」は頭の中だけで考えること。
「空想」は現実にはあり得ないことや、現実と関係ないことを思いめぐらすこと。
「妄想」は病的に抱く誤った判断や確信のこと。
貴方は、ご存知でしたか?
私の場合、想像だけでは済まされず、空想し、妄想まで至り、普通のSEXで満たされなくなってるのかもしれません。
私を犯してくれませんか。
私を襲ってくれませんか。
私を狂わせるSEXはいかほどあるのか・・・
毎日、今日も一日無事に過ごせた事に感謝して、AM00:00、私は第二の自分へと変わります。
時計の短針が12を過ぎました。
日付が変わりました。
シンデレラではないですが、夜中0時を過ぎると変わる私。
日に日にマゾっ気は増し、熟されてきた私。
二十数年前、主人の性癖など何も知らず、主人との不倫が始まったのです。でも、私にとっては、全く興味のない世界であり、この世界には完全無知だったのです。それが、まさかここまで覚醒されるとは・・・
では、私のストーリーに溺れて下さいませ。
もしかしたら、実際にお会いできるかもしれません。
文字数 4,432
最終更新日 2023.08.14
登録日 2023.08.14
「君を愛して世界が滅ぶのなら、
この神話を『終末神話』と名付けよう。」
記憶を求める人造人間ヴァローナの、
新たなプログラムはここから始まった____
これは、数あるシナリオのうちのひとつ
愛を求め狂いゆく絶対生存の世界線
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予言通りならば世界が崩壊する再生紀1560年。
文字通り波乱の年であり、誰もが一秒先を疑う世界となる。
---9月、プロプリウス学園と哲仏学園の合同祭は例年通り開催された。
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各章ごとにメインキャラクターが入れ替わる群像劇型ストーリー
お好きな章からお楽しみいただけます♡
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■本編について
『終末神話:繰り返す終末。何度でも君を愛す』
神アイ故障の、本来のルート
本編を知りたい方はpixivにて
没案『終末時計が壊れました』を公開中
※神アイ故障は、本編を知らなくても読めます。
本編はシリアスミステリー要素が強め、セリフの掛け合い少なめ
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下書き版▶︎Pixiv
チャットノベル版▶︎テラーノベル
歌わせてみた▶︎YouTube
キャラ・世界観説明▶︎note
作業配信▶︎ツイキャス
文字数 1,748,809
最終更新日 2026.10.29
登録日 2026.07.17
「君、死ぬほど向いていないよ」
王弟殿下にそう告げられ、婚約を解消された侯爵令嬢テレーゼ。
けれど彼女は、少しもめげなかった。
そうだ。旅商人になろう!
商品知識を詰め込み、旅帽子をかぶり、意気揚々と街道へ。
ところが――。
「なんでえ?! 全然売れません!」
失敗して、走り回って、すべって、転んで、ときどき売れて。
旅先で出会う職人、商人、宿屋の人々。
そして故郷でテレーゼの帰りを待つ、幼馴染の、無口な時計職人ヨハン。
「ただいまです!」
「おかえり」
侯爵令嬢なのにロバと小さな荷車で街道を行く少女が、たくさんの人と商売に出会いながら、少しずつ自分の生き方を作っていく物語が始まります。
※本作は『小説家になろう』『エブリスタ』『カクヨム』にも投稿しています。
文字数 87,808
最終更新日 2026.10.28
登録日 2026.10.09
中学1年生の薬鋪 暁の趣味は、ポイント10倍デーのドラッグストアでお買い物。
ある日、いつものように買い物へ出かけたはずが、気がつけば空に飛行船が浮かび、時計塔があるレトロな異世界「プラエクス」に飛ばされていた!
犯人は強引すぎる「ドラッグストアの女神ヴォルプタス様(通称ゴスロリちゃん)」。
「この世界を救って!」「ドラッグストア愛を広めて」と無茶ぶりされた暁は、怒りに任せて手厚いサポートを要求!
さらにゴスロリちゃん趣味全開の便利機能付きスチパンロリな甘々ワンピースをまとい、時間停止、ゴミ箱機能付き無限収納バッグ、検索機能付き異世界ショッピング懐中時計、全ポイントを武器に、歯車やネジを対価とした物々交換で異世界ライフを始めることに――!?
大正浪漫な蒸気都市を舞台に、イメージ魔法を駆使しながら現代グッズで世界をちょっと便利にするお買い物チート&飯テロ生活!
……のはずが、口走ったアイデアが次々と大発明につながり、ゴスロリちゃんからは「世界の感染症バグを解決して!」と無茶ぶりが。解決した暁は「もう勘弁して!」と女神が泣きつくほどの無理難題を突きつける!?
さらに、魔石が採れる要塞島で煙突倒壊の甚大な大事故が発生し、薫さまが負傷――!
台風の翌日で船も出ず、飛行船すら飛ばせない絶望的な状況の中、「推しは私が助ける!」と、ゴスロリちゃんに頼らず自分の力で立ち上がる暁。
自ら購入したVTOL機を飛ばし、環さんや屋敷・会社の人々と共に現地へ急行! 誰にも言わずこっそりオキシドールのぶっかけとイメージ魔法を駆使して推しを救い出す大活躍を見せる!
転移前の記憶から「私は便利に使われるだけ?」と孤独を抱え、人に甘え知らずだった暁。
しかし、大正の理不尽な男尊女卑や命がけの救出劇を経て、彼女を守るため一卵性双子の華族(ドストライクイケメン財閥社長&麗しのオネエ様服飾組合長)が本格的に動き出す。
「もう、私たちから離れてはダメだよ?」
圧倒的な財力で生活エリアを埋めて「半監禁」していく過保護な二人。
気づけば推し達に囲まれ、まさかの溺愛結婚ルートへ突入!?
当の本人は「推し活公認♪」と脳天気に喜び、二人のお屋敷に嫁ぐのが当たり前になっているのに気づかない超絶【鈍感属性】!?
少女の心を溶かす、圧倒的包囲網の過保護な大正浪漫漂う溺愛スチームパンクファンタジー、待望の開幕へ!
文字数 179,642
最終更新日 2026.10.28
登録日 2026.08.09
最近ゲッターズ飯田さんの五星三心占いにハマり始め、そこから火が付き五星三心占いの基盤になっている四柱推命をなぜか読みあさっています。
楽しくてしょうがないのよ。止まらないのよ。人の生年月日がやたら気になる術式発動中なのよ(笑)
まだまだ勉強し始めなので(占い歴2ヶ月くらい)個人鑑定とかはやってないよ。でもそのうち出来るようになれば楽しいよね!!
このエッセイは、私の周りの人のこの星持ってる人はこんな感じ!!を書きたい時に好きなだけ書く場所です。書きたいのよ(笑)
深夜の1時台に生まれています。五星三心占いでは日の出前生まれで鳳凰座と時計座のハーフみたいな人です。
銀の鳳凰26.24.27
銀の時計36.31.36
(深夜の1時台に生まれてるので前日の鳳凰座がやや強めに入ってるよ)
財星多めの甲午ちゃん
インド占星術のラグナは蠍座
西洋占星術は魚座アセンダント射手座
宿曜占星術は胃宿
文字数 85,550
最終更新日 2026.10.29
登録日 2024.09.10
午前三時。港区の上流圏に、とんでもないゴシップが流れた。
見出しはやけに刺さるものだった――《神崎家の跡取り、六本木の会員制ラウンジでインフルエンサーの誕生日を祝う。正妻は深夜に避妊具を届けたか》。
私は画像を開き、そのまま靴を履いた。こんな大ネタを目の前にぶら下げられて、見に行かない理由がない。午前三時の東京に失礼というものだ。
写真の女は、たしかに目を引いた。オートクチュールのドレスをまとい、フロアの中央で水蛇みたいに身をくねらせている。周りでは二世の坊ちゃんたちがグラスを掲げ、面白がってはやし立てていた。
私はバーカウンターでロングアイランド・アイスティーを頼み、静かに見物するつもりで腰を下ろした。ところが彼女は赤ワインのグラスを手に、まっすぐこちらへ歩いてきた。
「あなたが佳奈さん? 藤堂家が地方から見つけ出した、本当の娘さんなんですってね。蓮司さんに頼まれて、あれを届けに来たんでしょう? 品物は? どうしてここでお酒なんか飲んでいるの?」
私は一瞬、反応が遅れた。人違いだと手を振ろうとした瞬間、彼女はいきなり私の手首をつかみ、そのまま自分から床へ崩れ落ちた。
がつん、と乾いた音がした。彼女の腕につけられていたパテックフィリップの文字盤がテーブルの角にぶつかり、見事にひび割れる。
顔を上げた彼女の目には、もう涙が浮かんでいた。ラウンジの照明より早い演技だった。
「佳奈さん……私のことが気に入らないのはわかっています。でも、どうして時計まで壊すんですか。蓮司さんが誕生日のために、わざわざスイスから取り寄せてくれたものなのに。どうしても私が邪魔なら、私が身を引きます」
あまりの展開に、私は言葉を失った。手元のグラスから酒がこぼれ、床に広がる。
深夜に避妊具を届けに来た、哀れな正妻?
冗談じゃない。
私は昨日、日本有数の財閥会長、神崎清隆と入籍したばかりだ。立場でいえば、神崎蓮司の継母である。
文字数 13,490
最終更新日 2026.07.07
登録日 2026.07.07
大手広告代理店で『完璧なチーフ』として立ち回り、大企業の社長の娘という重圧をひた隠しにして生きる佐倉真奈。親の期待と社会の体面に応え、自らの心を殺して生きる彼女は、ある雪の夜、路地裏で古いアンティーク工房を営む時計修理士・雨宮蓮と出会う。
過去のトラウマから他人の人生に踏み込むことを恐れ、静寂の中で一人『止まった時間』を生きていた蓮。孤独な二人は互いの隠された脆さと痛みに深く共鳴し惹かれ合うが、家と家の莫大な利益が絡む『政略結婚』という巨大な現実が真奈を容赦なく呑み込んでいく。
「俺の愛は、君を壊す劇毒だ」
愛するからこそ互いの手を離し、心臓を殺したまま別の男の妻になることを選んだ真奈。しかし、決して後戻りのできない結納の日。格式高い老舗料亭の静寂を破り、見せかけの理屈もプライドもすべてかなぐり捨てた蓮が、泥だらけの姿で現れて……。
親の期待、社会の体面、見せかけの安全。
そのすべてを焼き払ってでも、手に入れたかった『たった一つの熱』とは。
純文学の圧倒的に美しく重厚な筆致で描き出す、魂を揺さぶる大人の恋愛小説。
文字数 149,501
最終更新日 2026.10.12
登録日 2026.09.20
孤児院育ちの少年ジャムは、年上から「才能なし」と馬鹿にされ、毎日いじめを受けていた。
ある日、年上の悪ふざけで起動した転送陣に突き飛ばされ、時計だらけの部屋に転送されてしまう。その謎の部屋で、スキルを得て出た先は、魔王軍すら近寄らない危険地帯――極海樹海へ飛ばされてしまう。
普通なら即死だった。
しかしジャムは、持ち前の異常な身体能力と、人懐っこさで次々と仲間を増やしていく。
自殺しようとしていたエルフ。逃亡してきたドワーフ。更に蜘蛛の魔物ヴォル、ケンタウロスの少女リーフィア、オーガ族、巨人族、さらには天使まで。
「ここ、安全だから一緒に住めば?」
その一言から始まった共同生活は、やがて巨大な城壁都市へと発展する。
温泉を掘り当て、上下水道を整備し、魔導冷蔵庫を開発。オリハルコン通貨を発行し、法律を作り、極海王国を建国。追放された者や行き場を失った人々が次々と集まり、人口は数千人規模へ。
一方、人間の王国では勇者バルドの失敗により国が混乱し、多くの人々が命懸けで極海樹海を目指す。
誰もが「地獄」だと思っていた樹海の奥地には、種族を超えて笑い合う理想郷が存在していた。
これは、いじめられっ子だった孤児の少年が、気づけば国王になり、仲間たちと世界最強の楽園国家を築いていく物語。
最強だけど天然な国王ジャムの、笑いあり、建国あり、魔物あり、温泉ありの異世界スローライフファンタジー!
文字数 133,399
最終更新日 2026.10.29
登録日 2026.07.10
目が覚めると、見えた。
子どもの頃に失ったはずの光が戻ったその夕方、頭の奥で声がした。――見えると、あいつらに言うな。
時計は午後五時四十五分。あなたは見えたものを片端から数え上げ、帰ってきた父と母に「見えるんだ」と告げる。その夜、あなたは死ぬ。
目を開けると、また椅子の上。時計はまた五時四十五分を指している。
頭の奥の声は、何度訊いても同じ一文しか返さない。
団地の門には錠が下り、絵本の文字は減っていく。壁のポスターの観客も、戻るたびに減っていた。団地の東北の角――七号棟の北にだけは、どうしても足が向かない。
何回目で、あなたはあの扉の前に立つのか。
全六話・完結。
この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
文字数 15,659
最終更新日 2026.10.22
登録日 2026.10.20
「クヨクヨすんなよ!バカ!」
最愛の娘が遺した最後の魔法球から、そんな怒鳴り声のようなエールが響き、そして静かに光が切れた。
僕の名前はアルヴィス。五百年以上の時を生きる、老いることのない「天人」の魔法使いだ。
かつての僕は、この静かな山奥で誰とも関わらず、ただ時間が過ぎ去るのを待つだけの孤独な怪物だった。永遠に近い時間が続く退屈な人生録。それを変えてくれたのは、七十三年前の土砂降りの雨の日、泥だらけの赤いワンピースを着て僕の前に現れた、十歳の少女だった。
やがて少女は美しい女性へと成長し、僕たちは種族の壁や周囲の反対を乗り越えて夫婦となった。僕の止まった時間の中に、人間の持つ有限で、圧倒的に温かい時間が流れ込んできた。
二人の子供たちの誕生と、魔法の才能ゆえに引き裂かれた長女との十年の断絶。
人間の時間の歯車は残酷で。僕が三十歳の若々しい姿のまま時を止めている傍らで、最愛の妻は白髪を揺らす八十三歳のお婆ちゃんになり、僕の腕の中で静かに息を引き取った。
人間の世界に一人残され、再び訪れた果てしない孤独。けれど、僕の胸の奥は、彼女たちが遺してくれた圧倒的な愛の言葉によって、温かく満たされていた。彼女たちは、僕たち魔法使いの「永遠」に負けないほどに濃密で、美しい人間の時間をきっちりと生き抜いているのだ。
君との愛と思い出は、これから先、何百年、何千年の時が経とうとも、いつも僕のすぐそばにあるから。
「また、きっと出会う。僕の大切な人と」
これは孤独だった不老の魔法使いが、一瞬の命を燃やす人間たちと出会い、見送り、それでも彼らの遺した愛位を胸に抱いて未来へと歩み出す、果てなき人生の記録。
文字数 68,445
最終更新日 2026.10.28
登録日 2026.10.25
文明水準は、地球でいえばおよそ西暦600年。
電気もない。エンジンもない。工場もない。精密機械もない。
あるのは、魔物、鉱石、そして魔力を宿した魔石。
そんな世界で三人が目指すのは、ゼロからスペースシャトルを作り、宇宙へ行くこと。
日本人の元技術者・レオン。
アメリカ人の元商人・ルーク。
イタリア人の街づくり好き・エレナ。
三人は前世の記憶を持ったまま、同じ小さな町に赤ん坊として転生した。
けれど、神から便利な力をもらったわけでも、最初から何でも作れるわけでもない。
冷却する魔物の皮。
風を生み出す魔物の骨。
不思議な性質を持つスライムの粘液。
魔力を蓄える魔石。
未知の鉱石や金属。
この世界にある素材を一つずつ調べ、失敗し、組み合わせ、冷蔵庫、水車、時計、乗り物、工場、都市へと技術を積み上げていく。
三人だけでは宇宙には届かない。
だから職人を育て、商人とつながり、町を大きくし、世界中から技術と人材を集めていく。
剣一本で世界を救う物語ではない。
小さな町から文明そのものを育て、いつか空の向こうへ到達する物語。
果たして三人は、この異世界に“宇宙へ行ける文明”を築くことができるのか。
すべては、
人口わずか300人の小さな町から始まる。
文字数 348,265
最終更新日 2026.10.28
登録日 2026.09.10
憧れていた男子に自分から近づいてみて、藤崎恵はようやく気づいた。
本当に不安にさせられるのは、拒まれることそのものとは限らないのだと。
同じクラスの犬塚亮太を好きになってから、女子学生会館で同じフロアに住む白石琴音は、いつも隣でやわらかく忠告してきた。
「男の人って、あんまり信用しすぎないほうがいいよ」
亮太がLINEで「キャンパスを少し歩かないか」と誘ってくれば、琴音は「そういう誘い方って、ちょっと曖昧で怖いよね」と言った。
亮太が腕時計を贈ってくれたときも、琴音は「まだ始まったばかりなのに、そういうものを渡すなんて、少し気持ちが急ぎすぎてる気がする」と眉を下げた。
何度も聞かされるうちに、恵も少しずつ自分の気持ちを疑うようになっていた。
けれどある日、彼女は見てしまった。
亮太と琴音が図書館裏の小道を回り込み、監視カメラの死角へ入っていくところを。
ふたりは陰に隠れた途端、待ちきれないように互いの服の裾へ手を差し入れていた。
文字数 31,844
最終更新日 2026.07.10
登録日 2026.07.10