再生 小説一覧
81
シャッターチャンス ― 何回桜を ―
余命を告げられた美桜は、
もう何も感じられない自分に戸惑っていた。
そんな彼女の前に現れたのは、
画面の向こうに映る一枚の桜。
レタッチソフトを使い、光と色を調整していくうちに、
かすかな実感が胸に戻っていく。
撮ること、残すこと、
そして“いま”を生きること。
「あと、何回桜を見れるだろうか?」
その問いの先に、彼女が見つけたものとは――。
静かに心がほどけていく、春の短編。
82
彼女はその程度か? ~奪われし魔法~
『武器と魔法の世界で怪盗が悪霊と人を不幸していく物語で、主なテーマは再生』
魔法が台頭する時代に、正体不明の怪盗団が現れた。怪盗団の目的は世界の再生で、現状の魔法が優位になりすぎている現状を打破するために魔法を盗んでいく。そうすることによって、魔法によって弾圧され続けてきた国民たちを救おうと考えているらしい。そんな怪盗団を快く思っていないのは何も権力のもと血肉をむさぼりつくしてきた領主たちだけではない、魔法をこよなく愛する少年である。しかし、少年はひょんなことから怪盗団の一員として人々から魔法を奪い続ける日々が始まってしまった。魔法をなくしたくないという心と、魔法を人々の弾圧のために使ってほしくないという葛藤の中で、少年は何を思うのだろうか
83
【連作短編014】 旅するロボット 全10話 ―見つけたかったのは母で、見つかったのは家族だった―
妻が、突然いなくなった。
残されたのは、七歳の息子と、一体の家事支援ロボット。
理由も行き先もわからないまま日々を過ごしていた勇樹は、やがて妻が長野の小さな陶芸工房にいることを知る。しかし、迎えに行こうとした矢先に事故で入院してしまう。
そこで彼が託したのは、人間ではなくロボットだった。
夏休みの少年とロボットの小さな旅。
その先で見つかるのは、消えたかったわけではない妻の本当の想いと、すれ違っていた家族の時間。
これは、少し未来の日本で描かれる、家族の再生の物語。
84
白い帆の咲く家(誕生花が紡ぐ、366日の物語 ~9月1日~)
海辺の町に建つ古い洋館、「白帆の家」。
そこには、白い帆のような花を咲かせるスパティフィラムと、一人の老女が暮らしていた。
若き日に愛した人は戦地へ赴き、帰らぬ人となった。
それでも彼女は、悲しみを抱えながら多くの人の心に寄り添い続ける。
「上品な淑女」「清らかな心」「包み込む愛」。
スパティフィラムの花言葉に重なるように描かれる、待つこと、許すこと、そして誰かの痛みをそっと受け止めること。
長い歳月の果てに届いた一通の手紙が、止まっていた時間を静かに動かしていく。白い花が見守る、切なくも優しい愛の物語。
85
未来屋古書店
人生に疲れた者だけが辿り着ける「未来屋古書店」。
店主の老人は来訪者の失敗談を聞き、古書の棚からその人の物語を取り出す。
失敗は未来を閉ざすものではなく、未来を形づくる材料だと語り、来訪者は心を軽くして店を後にする。
店は再び姿を消し、次の疲れた人間を待ち続ける。
86
時雨のあとに、君を知る
親友に「気持ち悪い」と突き放された夜。
俺の世界は終わった――はずだった。
雨が降る寸前の空の下、
場違いなくらい明るく響いたクラッカーの音。
それが、たこやき屋〈時雨〉の店主との出会いだった。
笑っているあの人には、
愛する妻がいる。
近づいてはいけないと分かっていても、
俺はあの店に通い続けた。
やがて訪れる別れ。
止まらない時間。
そして数年後――成人した俺は、
もう一度、あの人の前に立つ。
これは、最悪の夜から始まった、
年の差再生BL。
傷ついた少年が大人になるまでの、
少し遠回りな恋の物語。
87
【完結】『勇者』は『料理番』を手放さない
勇者一行は見事魔王討伐を成し遂げた。
しかし、その裏で料理番だった青年ノアは、誰にも告げず姿を消した。
禁忌を犯して加護を失ったノアは静かに新生活を送る。そこにはもう、包丁も鍋もない。
英雄として称えられるようになった勇者キーランは、ノアを放ってはおかなかった。
平穏を選んだはずの元料理番の前に、勇者本人が現れる。
「ノア。逃げないでくれ――」
これは、役割を失った『料理番』と、彼を手放せない『勇者』の再生の物語。
※他サイトにも投稿しています。一部キャラクターの名前が異なることがあります。
※成人向け描写はほぼありません。(冒頭匂わせのみ)
88
神隠しの桜
『消えない後悔を抱えた俺たちの、再生の物語。』
2036年。
恋人のSOSを「傍観」し、死なせてしまった男がいた。
宗方 陸(むなかた りく)は罪悪感から逃げるように、「花丘村移住プログラム」に参加する。
その村には、大きな桜の樹が一本立っていた。まるで、誰かを待っているかのように。
89
追放された公爵令嬢が眼鏡をくいっとしたら世界が変わった件
公爵令嬢セリーヌは陰謀に巻き込まれ「悪役令嬢」として追放される。罪悪感と絶望に沈むが、領地での出会いや従者たちの支え、そして眼鏡を掛けたことで世界を新たに見直す。人々の信頼と温かな絆を得て、再び立ち上がり、公爵家の一員として政治や領地運営に向き合い始める物語。
90
MIND ふつうのジブンを平気で生きる道 〜そのとき 拍手は聞こえなかった〜
「追い求めてきた成功を手にしたはずなのに。なんなんだよ、この感じ」――28歳、新進気鋭の若手起業家・赤星将。
誰もが羨む順風満帆な人生の裏で、彼の心は静かに枯れていた。
“他人の期待”に応え続けてきた28年間。
その仮面が剥がれ落ちるとき、本当の自分はどこにいるのか。
禅語が静かに語りかける、ふつうのジブンを「平気で」生きるための物語。
91
天道商店街の端にありますー再生屋ー
天道商店街にある再生屋。
看板も出ていない。ぱっと見はただの一軒家。この建物が店だなんて、一体誰が知っているだろうか。
その名の通り、どんなものでも再生させてくれるらしい。
まるで都市伝説の様なその店の噂は、どこからともなく広まって、いつしかその店を必要としてる者の耳に届く。
本当にどんなものでも直してくれるのか?お代はどれだけかかるのか?
謎に包まれたままのその店に、今日も客が訪れる。
再生屋は、それが必要な人の目にしかその店構えを見せることはない。
その姿を見ることができるのは、幸せなのか。果たして不幸なのか。
92
最後の審判(悪魔は呆気に囚われる)
目の前の光景をどう捕らえれば良いのだろう?
世界の狭間、雲海に浮かぶ小さな小舟の上でオールを持ったまま呆然としている美しいスーツ姿の男性がつぶやいた。
雲海、凪いだ海の彼方にはポツポツと小さな島が見える。
天空には天使達の住む宮殿か遥か上空に見え、雲海の下には悪魔や魔物の住む暗く殺伐とした魔界が見える。
その遥か下方に有るのが人間の世界、今は世界対戦の真っ最中だ。
「ルードビッヒ、君がまだ近くにいてくれて良かったよ」
そう言った先にはゆらゆらと魂の球体が浮かんでいる。
「僕の姿を思い出してくれないか?」
そう言った声の主のことを思いうかべた
93
雨音が小さな花
東京で編集者として働く美月は、五年ぶりに実家へ戻る。倒れた父の容体を心配してのことだったが、久しぶりの帰郷は、忘れかけていた記憶と感情を呼び覚まし始める。
かつては当たり前だった日々の光景。母の作る朝食の匂い、父との将棋、庭の梅の木。それらは美月の中で、いつの間にか色褪せていた。しかし、日々を過ごすうちに、美月は自分が気づかぬうちに閉ざしていた心の扉が、少しずつ開いていくのを感じる。
父の書斎で見つけた古い日記、丁寧に保管されていた子供の頃の作文、そして父が密かに読んでいた美月の小説。言葉にできなかった想いは、別の形で確かに存在していた。
「人間は言葉にできないことが多すぎる。だから、お前のように言葉を紡げる人間は大切なんだ」
父のその言葉が、美月の人生を変えるきっかけとなる。
繊細な筆致の本作は、普段は口にしない感情や、心の奥底で灯り続ける家族の絆を静かに、しかし力強く描き出す。そこには悲劇的な出来事はなくとも、日常の中に潜む小さな感動と再生の物語があり、読む者の心に静かな余韻を残す。
雨音のように繊細に降り注ぐ言葉たちが、心という名の小さな花を育んでいく―。
94
セオリー通り?の王太子と救いの娘
古の森の娘ユーラは、使命を持って叔父と一緒に生まれて初めて人の国へと旅立った。山脈と古き森に抱かれ外界と隔絶されたその国では、王太子である息子に相応しい妃をと、王妃が国中から年頃の令嬢たちを招待していた。だが王太子リューセドルク本人は、くだらない催しだと興味がない。彼は、昔森の民から国に託された大切な竜たちが、この数年衰弱していることに頭を悩ませていた。竜について情報を得るためだけに、リューセドルクは代々森と交流を保つ辺境領の領主の娘と接触しようとする。だがその娘は、辺境から城まで同道したユーラたちを何故かひどく嫌っていた。一方ユーラは、王城で竜を探すうちに見かけたリューセドルクを、自らの運命の相手と確信する。だが、リューセドルクは竜のことのみならず、母から押し付けられる理想の王太子像に辟易し、疲弊していた——。
王太子と彼を救う娘の定石通りの物語、けれども実は、誰もが悩み、誰もが臆病で、そして誰かを想っている。
95
失ったのに、満ちている
失恋したはずなのに、なぜか幸福だった。
自分の中で静かに、でも確かに何かが変わっていた――
喪失と再生を、静かに描く一篇。
96
月語り
月と魔法使いと壊れた自動人形
97
【完結】レンタル孫 ―愛を知らなかった僕が、誰かを想うようになるまで―
“演じることでしか、生きられなかった青年が、
静かな部屋の中で、ほんものの愛に触れていく――。”
ネグレクト気味の家庭で育った優真は、
“人に好かれるための笑顔”と“相手が求める言葉”だけを武器に生きてきた。
心は空っぽのまま。それでも社会に馴染むために、
今日も誰かの顔色を読み、求められた役を演じている。
ある日、偶然見つけた求人──
「レンタル孫サービス」。
高齢者のもとを訪れ、話を聞き、買い物に付き添い、
たとえ一時間でも“家族のように”寄り添う仕事だった。
最初は軽いアルバイトのつもりだった。
けれど、記憶が薄れがちな元教師・絹枝、
無骨な沈黙の奥に深い優しさを隠した元職人・国松、
静かに他者を見守る女性・鈴代と出会い、
優真の日々は静かに変わりはじめる。
「無理して笑わなくていい」
「黙っていても、そこにいればいい」
「よく生きてきたね」
演じるための笑顔ではなく、
“誰かの言葉に救われる”という経験が、
少しずつ彼を満たしていく。
そして、ある日届いた一枚のメモ。
そこに書かれていたのは――
「あなたはいい子よ。また会えますように。」
さよならの向こう側に残された、その一行。
それは、優真の人生をそっと照らす光になる。
人は誰かと関わるたび、
少しだけ優しくなれる。
少しだけ強くなれる。
そして、ほんの少しだけ、新しい自分に出会える。
これは、演じることしか知らなかった青年が、
“愛されること”“愛すること”を学んでいく再生の物語。
静かに胸へ沁みるヒューマンドラマを、どうぞ。
98
ここにいるよ
ぼくは、ここにいるよ。
大好きなお母さん、お父さん。
毎日美味しいご飯を作ってくれてありがとう。
父と母の笑顔を守りたい。
少し切なくて優しい少年のほんの短い物語。
「小説家になろう」「カクヨム」でも掲載してます。
99
課長、甘やかさないでください!
地方支社に異動してきたのは、元日本代表のプロバレー選手・染谷拓海。だが彼は人を寄せつけず、無愛想で攻撃的な態度をとって孤立していた。
そんな染谷を受け入れたのは、穏やかで面倒見のいい課長・真木千歳だった。
15歳差の不器用なふたりが、職場という日常のなかで少しずつ育んでいく、臆病で真っ直ぐな大人の恋の物語。
100
藍より青い約束
祖母の死を機に故郷へ戻り、藍染め工房を閉めようとしていた紬。
そこへ、顔から首に痣を持つ少女・花音が、祖母に託した卒業式用の白いワンピースを抱えて現れる。
「この痣よりきれいな色を着たら、下を向かずに歩けるって」
――祖母が遺したのは、未完成の服と「仕上げは、あなた次第」という言葉だった。
桃色の小花を咲かせながら、葉の奥に幾千もの青を秘める藍。
染めるほど、風に触れるほど、布は新しい色へ変わっていく。
祖母の青から逃げてきた紬と、顔を隠して生きてきた花音は、染めむらの残る一着に、それぞれの明日を重ねていく。
花言葉「美しい装い」「あなた次第」から生まれた、受け継ぐ想いと再生、自分だけの色を選ぶ希望の物語。
101
雨やどりのコインランドリー
夏の午後、激しい夕立に見舞われたコインランドリー。店主の「私」は、熱を帯びたアスファルトが雨に打たれて放つ特有の匂いの中で、一人の男と出会う。洗濯物を持たずに雨宿りをする男は、去年の雨の日に妻を亡くした喪失感を抱えていた。丁寧な言葉を交わしながらも、心の中で彼への共感と静かな祈りを捧げる「私」。男は「私」の佇まいと雨の匂いの中に、過去と決別するきっかけを見出す。雨が上がり、光が差し込む街へと踏み出す男の背中を、「私」は見送る。二人の間に流れる、言葉にならない救いと再生を描いた物語。