喪失 小説一覧

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everything's no change

「お姉ちゃん、もう駄目かもしれない」 母の涙混じりの言葉を、隣で聞いた。とうとう来たか。そう考えながら―――― 幼いときより病弱な姉、そんな姉の存在をどこか遠くに感じ、しかし何より影響を受けてきた「私」の、姉の死を目前にしての、独白と日常のお話です。 ※エブリスタに同名で載せていたものを加筆修正して載せております。
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午後は消えない

七年ぶりに地元へ戻った朝倉は、図書館でかつて想いを寄せていた水野遥と再会する。 変わらない笑顔に安堵する一方で、彼女の言葉や振る舞いには、わずかな“ずれ”があった。 同じ説明を繰り返す。約束を思い出せない。名前がすぐに出てこない。 やがて朝倉は、遥が日々の出来事を手帳に書き留めることで、失われていく記憶をつなぎとめていることを知る。 「書いておけば、あとでわかるので」 彼女と過ごす時間の中で、朝倉もまた記録を書き始める。 だが、書くことで残せるものと、どうしても書けないものがあることに気づいていく。 記録と記憶のあいだで揺れながら、二人は同じ時間を持ち続けようとする。 それでも、こぼれ落ちていくものは止められない。 書けなかったことは消えていく。 それでも、確かにそこにあった午後は――消えない。
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私の羽根をあげるから

「僕はもう、帰れない」 忘れ物を取りに戻った夜の教室。 砂羅は、片想いの相手・砂矢くんが、自分と同じ妖精だと知る。 だが、密猟によって羽根を傷つけられた彼は、妖精の里へ帰ることが出来なかった。 だから私は、自分の羽根を捥いだ。 彼が空へ帰れるように。
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さよならを言えなかった親友を探しに行った僕は、本当のさよならを知った sideテオ

スラムで生きる少年・テオは、ただ生き延びるだけの日々を送っていた。 誰にも期待されず、誰にも触れられない世界。 そんな彼の前に現れたのは、少年・ルカ。 「テオは綺麗だね」 その一言が、テオの世界の色を変えた。 それ以来、ルカは何度もスラムへ通い、二人は“高台”で時間を重ねていく。 ――このまま続くと、信じていた。 しかし時間は、静かに二人を引き離していく。 そして再会のとき、そこにいたテオは、もう昔の彼ではなかった。 それでもルカは手を伸ばす。 「帰ろう」 これは、救い合ったはずの二人が、すれ違いによって壊れていく物語。
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一鼓-ichiko-| 忍びの少年少女たちが、戦乱の世を巡る旅と成長の物語。

“鬼姫”の護衛。 それは、いつもの任務のつもりだった。 忍者の少女は、幼馴染の仲間たちと各地を巡る旅に出る。 帰ってきたとき――その旅を覚えていたのは、彼女だけだった。 ◤【PV】https://youtu.be/IHy0BKbu6UI ◢ その道中には、いくつもの人生があった。 長いあいだ、ひとりを想い続けた大人の恋愛。 幼なじみへ向けられた、淡い想い。 言葉を失った獣が通う、山奥の温泉宿。 どこかずれていて、可笑しな男。 ぶつかりながらも背中を預ける、男たちの友情。 軽口を叩いて笑いあった時間もあった。 一方で―― 声にならないほどの後悔と、秘密を抱える姫。 取り戻すことのできなかった、親子の絆。 歪んだ願いと、もう一つの歴史を隠した城下町。 そして、天才が仕掛ける残酷な戦。 出会って、別れて、笑って、泣いて。 旅をするほど、人と人との縁は結ばれていく。 けれど、その中心には―― 人と人との縁さえ、塗り替えてしまう力があった。 戦も、仲間との絆も、愛も。 書き換えられても、それでも確かにあった。 確かにあった時間は、どこへ行くのか。 結末を見届けたとき、少しでも心が温かくなる作品になっていれば嬉しいです。 難しい歴史や設定を知らなくても、登場人物たちと一緒に旅を歩くように楽しめる 人間ドラマの時代小説を目指しました。 2013年に個人制作したオリジナルゲームから始まり、長い年月を経て小説として完結した作品です。 和風ファンタジー、冒険ファンタジー、戦国、時代劇、群像劇、男装の女主人公、ヒューマンドラマ、シリアスの中にある笑いや、成長、感動、泣ける切ないストーリーが好きな方へ。
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記憶屋

記憶屋・・・本人の代理で旅行し、その記憶を依頼者に売る商売。 依頼者はその記憶を買うことで、本当に旅行に行った記憶となる。 その代理で旅行をする契約した主人公・・・ 依頼者に代わりに、旅行をしていたわけだが・・・
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十字架

――小学生のころ、僕には彼女がいた。 保育園の砂場に舞い落ちる、桜の花びら。 墨汁の匂いがする鞄。 二人で下った、オレンジ色の坂道。   広島の山あいの町で、僕たちはいつも一緒にいた。 けれど、四年生の秋……。 ――あの日の十字架。 ――そして僕の、もう、会うことのない友達。 『 十 字 架 』 実話に基づく私小説。 喪失と、かけがえのない光の物語。 ■ 独自執筆メソッド【C.C.W.】の実証作 本作は、著者が構築した独自の物語記述メソッド「C.C.W.」を用いて執筆されています。文章の構造や視点移動を緻密に設計し、読者の認知と深層心理へ直接的に訴えかける、全く新しい読書体験を提供します。※本メソッドは、AI生成や外部プログラミング等の演算ツールを一切使用せず、筆者自身の脳内回路のみで構築・稼働する「生身の執筆システム」です。 ■ 生成AI不使用宣言 本作の調査、プロット、構成、人物造形、そして文章表現に至るまで、作品として発表しているものはすべて私自身が考え、私自身の手で書いたものです。AIが生成したアイデアや文章をそのまま採用したことは一度もなく、今後も、作品そのものへのAIの関与は一切ございません。 ※本作はアルファポリス、TALESに重複掲載しております。 著作権はすべて著者に帰属します。 内容の無断転載、複製、および生成AIへの学習利用を固く禁じます。 ©2026 Shinsuke Mizui All rights reserved.
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煙突

冬の夜、老人が炬燵で孫に語る煙突の話。遠い記憶と、妻を失った年の冬の夜の出来事が、静かに、ゆっくりと、今夜へとつながってくる。
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第四の魔術師 〜魔術を拒む異端者〜

魔術を拒む少年『ゼイル』 ある日、彼は“あり得ないもの”を目撃する。 空から落ちてきたのは、 この世界に存在するはずのない――“誰か” やがて彼は知る。 この世界の“常識”そのものが、どこか歪んでいることを。 見えてはいけないもの。 触れてはいけない領域。 そして、どこからともなく届く“警告” 「――それに関わるな」 魔術を拒む異端者は、知らぬ間に“境界”へと足を踏み入れていく。 これは、世界の理に抗う者の物語。 三つの世界を揺るがす 罪を背負った者たちの戦いが始まる。 ※本作は第八章構成を予定している長編作品です。 また、近日公開予定の『アストラ街編』は物語全体の序盤も序盤です。 物語は学院編、四領土編を経て、やがて三つの世界を巡る大きな物語へと繋がっていきます。 気長にお付き合いいただけると幸いです。
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小川

小さな家と庭、そして裏を流れる小川。 それだけが、少女の世界のすべてだった。 父と母、共に過ごす子どもたち。 変わらない毎日が、当たり前だと信じていた時間。 けれど、ある夜を境に、 世界は静かに形を変えていく。
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ナオが死んだ。

 ナオが死んだ。その事で陰鬱な気持ちになる僕(日向)。辛くてたまらない中、お見合いをする事になる。だが僕は、お見合い相手の礼子嬢と顔を合わせても、ナオの事が忘れられない。毎日のようにナオのことを考えながら、僕は泣いている。執事にも心配されている。そんなある日、礼子嬢とデートをする事に。
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碧の街

白鳥カイトは、中学時代の同級生である鈴鹿綾瀬とは、文化祭を通じて仲良くなったが、高校生の終わりに綾瀬は突如として自ら命を絶つ。カイトは彼女との最後の会話を思い出し、彼女の死に対して深い喪失感を抱く。 その後、予備校生活が始まり、満員電車で憂鬱な日々を送っていたカイトは、宝塚駅で花澤澪という少女と出会う。澪は明るく、少し抜けているところがあるが、どこか綾瀬に似ている部分を感じさせる存在だった。カイトは澪とLINEを交換し、次第に彼女に興味を持ち始める。
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六月、君を待つ駅で

六月の雨が降る夜。 僕は、病室のベッドに横たわる君の手を握っていた。 灰色の管に繋がれた君は、もう長くない。 それでも君は、いつものように笑って言った。 「ねえ、最後に話をしよう」 昔、一緒に見た映画のこと。 学生時代のくだらない思い出。 君が好きだった、少し下手な歌。 そして、いつか二人で行こうと約束した場所。 最後の夜、僕たちは小さな結婚式を挙げた。 それは病院の一室で交わされた、誰にも知られない約束だった。 やがて六月が終わり、季節が巡っていく。 ――それでも僕の時間だけは、あの日から止まったままだった。 これは、ひとりの少女を愛した少年が、 その死を受け入れ、もう一度歩き出すまでの五日間の物語。
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喪失の勇者 ―記憶を失った英雄の物語―

すべての記憶を失い、最低能力から始まる青年。 それでも彼は生きるために世界を知ろうとする。 人と関わり、日々を重ねる中で、失われた記憶と共に力が少しずつ戻っていく。 しかしその過程で、森の奥に封印された“魔神”の存在が明らかになる。 その魔神は、かつて世界を守るために戦った存在だったという。 だが、真実はまだ語られない。 これは、勇者と魔神、二つの運命が交差する物語。 失われた記憶の先に待つのは、救いか、それとも――。
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鉱石少女に手向けの花を

原因不明の現象「寄生鉱石」。 ある日、少女の肉体を侵す。 皮膚が。筋肉が。内臓が。 少しずつ、鉱石へと変わっていく。 感染はしない。治療法もない。 発症した理由も、終わる日も、誰にも分からない。 各話で少女は違う。 鉱石の種類も、視点人物も、社会の反応も、毎回異なる。 しかし物語の終わりに、必ず一輪の花が手向けられる。 鉱石は変容を象徴する。花は、人の感情と祈りを担う。 人は何を美しいと呼ぶのか。 何を崇め、何を恐れ、何を消そうとするのか。 これは鉱石になりゆく少女たちの寓話連作であり、彼女たちを「見る」人間の物語でもある。
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執着

優しいから手放せなかった——夜十時の影。 年の離れた従兄・直哉を病気で亡くした「僕」。 葬儀の夜から、決まって夜十時になると、家の前の電信柱に人型の影が現れるようになる。 その影は、直哉のものだと直感的にわかった。 彼は成仏できず、何かを訴えに来ているのだと信じた僕は、影の口の動きを録画し、必死に読み取ろうとする。 そこに映っていたのは「お願い」の言葉だと信じていた。
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その恋は、やさしく喰われた

彼女は恋をした。 ゴミ箱の中で交尾していたカマキリに。 気づけば日常がひび割れ、現実と幻想の境界が溶けていく。 それはただの妄想か、それとも――ほんとうの恋だったのか。
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「しんすけ!」

僕を下の名前で呼ぶのは、君だけだった。 ――昭和59年。広島。 小学四年生の「僕」は、男たちの粗野な集団が苦手だった。 ひんやりとした六角形の図書館の片隅で、ただ一人、世界のノイズから逃れるように本を読んでいた。 そんな僕を、土埃の舞う眩しい世界へと引っ張り出す友達がいた。 大人になる前の、あの無防備で残酷な季節。 やがて僕たちは、ファミコンのカセットの貸し借りをきっかけに、取り返しのつかないうねりへと飲み込まれていく。 僕の名を呼ぶ君の声が、今でも鼓膜の奥で鳴り響いている……。 最後の季節に経験した、残酷で美しい喪失の物語。 ※本作は著者の過去の実体験に着想を得た作品ですが、物語として大幅な脚色やフィクションを交えて再構築しています。昭和59年の広島の情景などは事実に基づいておりますが、登場する人物の造形や一部の出来事は創作です。 ■ 独自執筆メソッド【C.C.W.】の実証作 本作は、著者が構築した独自の物語記述メソッド「C.C.W.」を用いて執筆されています。文章の構造や視点移動を緻密に設計し、読者の認知と深層心理へ直接的に訴えかける、全く新しい読書体験を提供します。※本メソッドは、AI生成や外部プログラミング等の演算ツールを一切使用せず、筆者自身の脳内回路のみで構築・稼働する「生身の執筆システム」です。 ■ 生成AI不使用宣言 本作の調査、プロット、構成、人物造形、そして文章表現に至るまで、作品として発表しているものはすべて私自身が考え、私自身の手で書いたものです。AIが生成したアイデアや文章をそのまま採用したことは一度もなく、今後も、作品そのものへのAIの関与は一切ございません。 ※本作はアルファポリス、TALESに重複掲載しております。 著作権はすべて著者に帰属します。 内容の無断転載、複製、および生成AIへの学習利用を固く禁じます。 ©2026 Shinsuke Mizui All rights reserved.
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【短編046】 膝の上の温度:壊れていくものの傍に、いた。

 においで、わかる。  夜だけやってくる"あのひと"の膝の上が、わたしは好きだった。温かかったから。  でも春が終わる頃から、匂いが少しずつ変わり始めた。  壊れていくものの傍で、猫はただ、見ていた。
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【前日譚】 静かな悪戯 ― The Last Silence ―

『静かな悪戯』本編直前。 彼とアルが、まだ並ぶことを選ぶ前の物語。 届いた言葉に、返せなかった答え。 人に干渉することを禁じられた“制約を守る者”と、 その境界に立った“青年”。 偶然の出会いから始まった、ふたりの静かな日々。 言葉少なに交わす紅茶の時間。 雪の夜、隣に座るだけの関係。 「守る」ことの意味。 そして、「触れなかった」想い。 これは、“沈黙”が語る物語。 最後に残るのは、 雪のあとに残された、確かな想い。 『静かな悪戯 ― 堕ちた者たち ― Those Who Fell』本編掲載中。 ▼本編はこちら https://www.alphapolis.co.jp/novel/753708856/376048429
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夕暮れトーキ

ある日見つけた、豚の置物。 「私」はそれを何気なく捨てるが…… 日常のささやかな喪失の掌編です。
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皇國の防戦記

第一次大陸間戦争の勝利に貢献し、救国の英雄と称えられる皇國軍人“グレン・バルザード” しかし、第二次大陸間戦争を目前に控えた緊迫のこの状況で、戦地に送られてきたグレンは 彼女が抱いていた人物像とは大きく掛け離れていたのだった。 果たして、皇國の命運はこの男の手に託されたのだが・・・
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読切短編 また明日

祖母は余命わずかとなっても、毎日欠かさず配信アイドル「るなちゃん」を見ていた。孫である私は、その姿に寂しさと嫉妬を覚える。なぜそこまで夢中になるのか。けれど最期の夜、祖母が呼んだ一つの名前が、すべてを変えていく。現代の「推し活」を通して、家族への想いと喪失を静かに描く感動短編。
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読切短編 夫が死んだ日、桜が咲いた

二十五年間、桜前線の予測を一度も外さなかった気象予報士がいる。 夫が死んだのは去年の三月、東京の桜が満開になったその日だった。ちょうど彼女が予測した通りの開花日に。 今年も変わらずモニターに向かい、等圧線を引き、前線の北上を追う。本州の桜が散り、誰もが花見を忘れた頃も、彼女だけはまだ前線を見続けていた。 前線が北へ進むほど、あの春から遠ざかっていく。それが悲しいのか、救いなのか——答えは出ないまま、今年も前線は北の果てへ向かう。 二十五年間、唯一予測できなかったのは夫の死だけだった。そしてもうひとつ、来年の春、自分がどこに立っているかも、彼女には分からない。
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うちの可愛いの

 黒柳悠人と和泉恭は同性同士のパートナー。2人が住む家に、ある日から芦澤琴葉も同居することに。  3人と、猫のコタローとモカ、犬の風太の共同生活。
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霧に棲むひと──山梔子は夢を見せる(花々の祝福1)

霧の深い日にだけ現れる、名前のない女。 夏樹は彼女と出会い、やがて恋人になる。 けれど彼女はどこか不自然だった。冷たい身体、生活の気配のない部屋、そして――決して語られない“正体”。 ある夜、夏樹は彼女の秘密を知ってしまう。 それは、決して触れてはいけなかったものだった。 愛したものの正体を知ったとき、人はどこまで残酷になってしまうのか。 そして、残されたものは何を想うのか。 霧の中に棲む、ひとつの恋の記憶。
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僕がきみの中で息づく時

高校三年生の春。 こんな微妙な時期に転校してきた男子生徒・塩崎湊(しおざき みなと)は、まるで女子と間違うほど可憐で儚げな少年だった。 クラスメイトの山本琉生(やまもと るい)は何かと湊を気にかけるようになるが、湊は最初はそれが煩わしかった。 しかし、次第に琉生の事を受け入れはじめる湊。そして、琉生と湊は互いに過去の記憶が巡る。 それは初恋の一ページだった。
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読切短編 白いまま

父が死んだと聞いたとき、私は泣かなかった。 十八で家を出て、それきりになった父。半年後、誰かが片付けなければならないからと、海辺の町へ戻る。シャッターの閉まったサーフショップ。埃の積もった倉庫。壁に立てかけられた二十枚以上のボード——全てに、油性ペンで日付が書いてあった。 一枚だけ、日付のないボードがあった。 何の傷もない、白いまま取り残されたボード。常連の老人は言った。「お前さんが生まれた年に買ったやつだ。一度も海に入れなかった」 父は何も言わなかった。私も何も聞かなかった。それでも、ボードはそこにあった。
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『四階には誰もいない』

妹・玲奈が事故で亡くなってから、三年。 兄の神楽坂透は、彼女が遺した一枚のメモを見つける。 『四階には行かないで』 そこに記されていたのは、山奥に建つ古びたホテル――「ホテル・アルカディア」の名前だった。 地上三階建て。 当然、四階など存在しない。 しかし、玲奈の死の真相を追うためホテルを訪れた透を待っていたのは、奇妙な支配人と、説明のつかない違和感だった。 「このホテルに、四階なんてないですよね?」 そう尋ねた瞬間、支配人の表情が変わった。 そして深夜0時。 誰もいないはずのエレベーターに、昼間には存在しなかったボタンが現れる。 ――「4」 扉の先に広がっていたのは、長い廊下と、いくつもの客室。 その部屋に掲げられていたのは、部屋番号でも宿泊客の名前でもなかった。 透が見つけた一つの名前。 それは、三年前に死んだ妹―― 「神谷玲奈」 なぜ死んだ妹の名前が、このホテルにあるのか。 なぜ玲奈は「四階には行くな」と残したのか。 そして、透自身が忘れてしまった過去とは何なのか。 謎を追うほど、少しずつ崩れていく記憶。 存在しないはずの四階。 忘れられた人々。 そして、ホテルに隠された20年前の事件。 ――もし、忘れていたのではなく。 「忘れさせられていた」のだとしたら? これは、死者を探す物語ではない。 忘れられた者を、もう一度見つける物語。
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恋した彼は、地に足を持たない。

恋は、存在を繋ぎ止めることができるのか。 世界に定着できない彼と、 彼を世界に繋ぎ止めようとする私。 愛するほどに、選択肢が削り落ちる。 私は存在が薄れてゆく彼を愛し続け、自らも世界からズレてしまう。 そんな物語。
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足跡のかげ

奏と翔は、ある日大好きな祖母が、病気になったと知らされる。 「もう会いに行ってはいけない」 という母に、頼んで祖母に会いに行くが……。 おばあちゃん子な弟、翔を見守る姉の奏の回想からなる、「あしあと」にまつわる、少し不思議な短編です。
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世界は僕に転生した ―奇跡を使うたび、世界を忘れていく少年と記憶を描く地図師の物語―

滅びた異世界が、ひとりの少年に転生した。 砂漠で目を覚ました十七歳の少年・アステル。 その身体には、すでに滅びた世界ヴァルネアの大地と、そこで生きた何億もの人々の記憶が宿っていた。 彼は、失われた花や生物、都市、雨さえも現世へ再現できる。 人々はそれを「奇跡」と呼ぶ。 だが奇跡を使うたび、その源となった土地、民族、言葉、誰かの人生が、アステルの内側から永遠に失われていく。 石となる病に苦しむ少女を救うため、忘れられた治癒花を咲かせたアステルは、消滅した土地を描く十七歳の地図師・リュナと出会う。 「あなたが忘れた人たちを、私は地図に描けるかもしれない」 彼女の地図は、アステルが失う記憶をこの世界に残せる。 しかし〈実在図〉として完成したとき、失われた故郷は、いま生きる人々の土地を押し退けて復活してしまう。 過去を弔うのか。それとも、誰かの現在を奪ってでも蘇らせるのか。 奇跡で救うのか。奇跡に頼らない未来を選ぶのか。 一つの世界だった少年と、失われたものを記録する少女は、答えのない選択を重ねながら各地を旅していく。 これは、世界や神としてではなく、「アステル」という一人の人間になろうとする少年の物語。 何を覚えているかではなく、何を選ぶかによって自分をつくる、記憶と喪失、再生の長編ファンタジー。
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