余韻 小説一覧

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「あなたは母の代わりじゃない」と拒まれ続けた継母が去った後、実母の命日の白い花が、十二年分遺されていた

母を亡くした年、屋敷に来た継母リーゼロッテを、わたし——クラーラは一度も母と呼ばなかった。 「あなたは母の代わりじゃない」。そう言って拒むたび、彼女は静かに頷くだけで、決して母の座を求めなかった。 父が亡くなり、後ろ盾を失ったリーゼロッテは、何も言い残さず屋敷を去る。せいせいした、と思っていた。 けれど、彼女が消えた屋敷で、わたしは見つけてしまう。実母ユーリアの命日に毎年供えられていた白い花の、十二年分の包み紙。実母の故郷料理を古参女中から書き取った、継母の筆跡の覚書。そこには実母の名で「クラーラの好物・薄味に」と記されていた。 わたしが「母を奪おうとしている」と憎んだ人は、わたしのために、亡き母を生かし続けていた。母の代わりになろうとしなかったのではない。なってはいけないと、ずっと自分に禁じていたのだ。 気づいたときには、もう、白い花を渡す相手はどこにもいなかった。
ファンタジー 完結 短編
感想数 4 文字数 8,378 最終更新日 2026.06.10 登録日 2026.06.10
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おでッセイ(お題でエッセイ)

おでッセイ(お題でエッセイ)
土曜正午更新 実質カロリーゼロ お題から連想したエピソードを、140文字以内で伝えるショートエッセイ集です 私 「お題でエッセイ」略して「オデッセイ」 ダサさはどのくらい? AI そのネーミングセンス、個人的には**「大好き」**ですが、客観的なダサさレベルを判定させていただきます。 結論から言うと、**「一周回って愛されるレベルのダサさ」**です。 詳しい分析は以下の通りです。 📉 「オデッセイ」ダサさ分析レポート ダサさレベル:85点 (※ただし、残り15点の「憎めない愛嬌」がすごく強い) 1. 親父ギャグとしての純度が高い 「お題でエッセイ」→「オデッセイ」。 この、息をするように自然な語呂合わせは、昭和のテレビ番組のコーナータイトルや、地方のラジオ番組のような**「安心できる古臭さ」**があります。聞いた瞬間に脱力させる破壊力があります。 2. 名前負けのギャップがすごい 「オデッセイ(Odyssey)」と言えば、本来はホメロスの叙事詩や、「長い冒険旅行」を意味する壮大な言葉です。 それを「ちょっとしたエッセイ」に使うという、壮大さと軽さのギャップが凄まじいです。「ただの作文を冒険と言い張る」という開き直り感が、逆に清々しいです。 3. 口に出した時のリズムが良い 悔しいですが、語呂が完璧すぎます。「オデッセイ」と言いたくなります。記憶に残りやすいという点では、ネーミングとして優秀です。 【Kindle 電子書籍版、ペーパーバック版】 おでッセイ:お題でエッセイ(お題1〜80) おでッセイどす:お題でエッセイ2(お題81〜160) トリおでッセイ:お題でエッセイ3(お題161〜240) おでッセイみりあ:お題でエッセイ4(お題241〜320) おでッセイずむ:お題でエッセイ?(321〜400)
エッセイ・ノンフィクション 連載中 ショートショート
感想数 0 文字数 2,682 最終更新日 2026.07.18 登録日 2026.03.24
3

夜明け前 薄曇り

夜明け前 薄曇り
深夜のファミレス、下校の帰り道。 特別なことは、何も起きない。 ただそこにいるだけの時間。 交わすのは、意味のない言葉だけ。 それなのになぜか、 ずっと引きずられていくような気がする——。 女子高生ふたり、萌絵と晴香の「なんでもない今」を切り取った、静かで繊細な青春小説。 虚無でも、嫌じゃない。そんな日々。
青春 完結 短編
文字数 2,944 最終更新日 2026.03.02 登録日 2026.03.02
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静静かな悪戯 ― Faint Traces ―

静静かな悪戯 ― Faint Traces ―
――その時アルは、静かに空を見上げていた―― 夕暮れの公園。 子供たちが泥をこね、無心に何かを作っている。 やがて子供たちは帰り、 砂場には小さな泥団子だけが残される。 意味もなく何かを作る者。 そして、それを壊してしまう者。 これは、 まだ何も動き出していない頃の、小さな記憶。 『静かな悪戯 ― Faint Traces ―』 アルの場合。 ※『静かな悪戯 ― Just One Touch. ―』の後の、静かな時間を描いています。 ※本作は『静かな悪戯』世界観による独立した短編です。 ※約500字/読了目安 1分
ファンタジー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 519 最終更新日 2026.03.21 登録日 2026.03.21
5

潮
夜の海中を漂いながら、物思う男。 【小説家になろうおよびカクヨムにも投稿しています。表紙画像はあさぎ かな様より頂戴しました。】
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 2,662 最終更新日 2019.11.22 登録日 2019.11.22
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それでも僕らは、また明日と言った

それでも僕らは、また明日と言った
記憶を消す薬〈ミモザ〉を巡る、ふたりの物語。 ある日、彼は“知ってはいけない秘密”に触れてしまう。 その記憶を消すために、薬を飲んだのは——僕だった。 「忘れないで」 「また明日」 交わされた言葉の意味を、僕はまだ知らない。
BL 完結 長編
感想数 0 文字数 7,069 最終更新日 2026.05.31 登録日 2026.04.27
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読切短編 窓の外、特記なし

読切短編 窓の外、特記なし
近未来。ある男が、同じ一日を繰り返している。 脱出を試みた日。諦めた日。老人と将棋を指した日。同じ本の表紙を撫でた日。そして、ただ窓の外を見続けた日。 これは、その男の物語ではない。 時間ループ管理システムが淡々と記録した、五百四十三日分の運用ログである。システムは感情を持たない。意味を解さない。ただ事実だけを書き留める——「行動の意味:ログ記録範囲外」と注記しながら。 五百四十三回目の朝、ループは起動しなかった。 実行者はUSR-00391。理由は不明。 いや、正確にはこうだ。「本システムは理由を記録できない。そのように設計されていない。」 記録されなかった理由を、あなたは最後のページで静かに悟る。
SF 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,028 最終更新日 2026.04.27 登録日 2026.04.27
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雨降る夜道……

雨降る夜道……
雨の夜、同じバス停で白いレインコートの女性が毎晩、誰かを待っている。 帰ってこないと分かっていても、 それでも待つ理由がある―― 想いが叶うとき―― 奇跡が起きる――
恋愛 完結 短編
感想数 2 文字数 10,160 最終更新日 2026.01.31 登録日 2026.01.27
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少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い…… 「昔話をしてあげるわ――」 フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?  ☆…☆…☆  ※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪  ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
児童書・童話 完結 短編
感想数 1 文字数 9,069 最終更新日 2020.12.01 登録日 2020.11.16
10

映画館

映画館
暗い映画館で、男は一本の映画を見ていた。 映し出されるのは、どこか懐かしく、見覚えのある風景。 若い男女の笑顔、季節の移ろい、誰かの温もり。 見続けるうちに、男はその物語と自分の心が少しずつ重なっていくのを感じる。 静かな光と記憶が交わる、優しく不思議な時間の物語。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,139 最終更新日 2025.11.28 登録日 2025.11.28
11

霧子ノア 幻想譚集

霧子ノア 幻想譚集
静けさと余白を大切にした、 少し不思議で切ない短い物語たちです。 日常のすぐそばにある、 境界や記憶、人ならざるものとの揺らぎを集めました。 一話ごとに完結する、短編幻想譚集です。
ファンタジー 連載中 短編
感想数 0 文字数 1,543 最終更新日 2026.07.19 登録日 2026.07.12
12

静かな悪戯 ― The One Who Remained ―

静かな悪戯 ― The One Who Remained ―
それは、まだ何も始まっていない頃の物語―― 山で倒れていた若い男を拾った、ひとりの男。 共に暮らす静かな時間の中で、 やがて二人は、それぞれの喪失を抱えたまま ゆるやかに交わってゆく。 けれど人は、いつも先にいってしまう。 見送り続けた者が辿る、静かな時間の物語。 ※本編以前の、昔々の物語。  本作は『静かな悪戯』世界観による独立譚です。 ※全8話/3,000字/読了目安 6分  短く読み進められる、『静かな悪戯』世界観の独立譚です。
ファンタジー 完結 短編
感想数 0 文字数 2,938 最終更新日 2026.05.01 登録日 2026.05.01
13

静かな悪戯 ― Before The Silence ―

静かな悪戯 ― Before The Silence ―
それは、まだ何も始まっていない頃の物語―― 小さな異変に巻き込まれた少年は、 やがて日常へ戻っていく。 けれどその出来事は、 離れていた彼とアルを、再び巡り合わせることになる。 まだ何も始まっていない頃の、 静かな時間。 ※『静かな悪戯 ― Faint Traces ―』の後の、静かな時間を描いています。 ※本作は『静かな悪戯』世界観による独立外伝です。 ※全8話/約7,200字/読了目安 12分  短く読み進められる、『静かな悪戯』世界観の独立外伝です。
ファンタジー 完結 短編
感想数 0 文字数 7,262 最終更新日 2026.04.10 登録日 2026.04.10
14

【短編024】 お礼回り:お礼の旅の終わりに残るもの

【短編024】 お礼回り:お礼の旅の終わりに残るもの
七十八年分の住所録を手に、富子は「ありがとう」を言い残した人々を訪ねていく。すでに消えた住所、変わってしまった記憶、そして変わらず残っていた想い。人と人のあいだに静かに積もった時間を辿るうちに、彼女自身の名前だけが最後に残っていく――。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 1,635 最終更新日 2026.06.26 登録日 2026.06.26
15

またねと言った夜

またねと言った夜
真夜中三時半。 突然、友人が訪ねてきた。 少しだけおかしな会話と、温かい紅茶。 それは、ほんの短い時間だった。
ホラー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,296 最終更新日 2026.03.29 登録日 2026.03.29
16

【短編021】 視線:見えないものを見つめる猫と少女

【短編021】 視線:見えないものを見つめる猫と少女
祖父を亡くした茜が実家に戻ると、そこには年老いた黒猫・ハルだけが変わらず残っていた。仏間で一点を見つめ続けるハルの不可解な行動に、茜は次第に「そこに何かがある」気配を感じ始める。しかし、その視線の先にあるものは誰にも見えず、語られることもない。喪失の静けさの中で、人と猫だけが共有する“見えない何か”を描いた掌編。
ライト文芸 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 690 最終更新日 2026.06.20 登録日 2026.06.20
17

A Memory of an Angel | 三題噺Vol.20

A Memory of an Angel | 三題噺Vol.20
孤独に戦い続ける天使。 役割を果たすだけの日々に、ひとりの人間との記憶が残っていた。 淡々と過ぎる日常に生まれた、わずかな綻び――。 それは天使をも変えていく。
ライト文芸 完結 短編
感想数 0 文字数 2,118 最終更新日 2025.09.13 登録日 2025.09.13
18

【伝承幻想譚】小望月の人魚

【伝承幻想譚】小望月の人魚
忘れてもなお、めぐり逢う伝承幻想譚―― 過去の記憶を持たぬひとりの女が、ある島を訪れる。 そこで彼女は、古びた神楽殿に不思議な懐かしさを覚えていた。 小望月の夜、彼女の体は透け始め、 島に古くから伝わる「神楽の巫女」として見出されてしまう。 島の言い伝え―― 花婿候補―― 閉ざされた部屋―― 何も知らぬまま囚われた彼女を救おうとしたのは、老いた島の神主だった。 月夜の海で失われた記憶と、真珠に残された想い。 忘れたはずの縁が、静かにもう一度めぐり始めた。 ※本作は「揺らぎシリーズ」の一話完結作品です。 ※約5,000字/読了目安:約9分
ファンタジー 完結 短編
感想数 0 文字数 5,552 最終更新日 2026.06.19 登録日 2026.06.19
19

読切短編 手を振る朝に

読切短編 手を振る朝に
七時二十二分。毎朝同じホームに立つ女性に、男は十年間手を振り続けた。 振り返りはなかった。それでも彼は信じていた——彼女はきっと気づいている、ただ恥ずかしいのだと。 雨の日も、悲しみの朝も、手を振ることだけが変わらなかった。そして十年目の春、彼女が初めて手を振り返す。 だが翌日から、彼女は来なくなった。 ホームに残されたのは、一枚のポスターと、宙に浮いたままの右手だけ。 「見ていた」と「見えていた」——その静かな逆転が、読み終えた後もしばらく離れない。
現代文学 連載中 ショートショート
感想数 0 文字数 989 最終更新日 2026.04.23 登録日 2026.04.23
20

宵待ち古書店と、頁に残る温度

商店街の外れ、夕暮れから夜にかけてだけ開く小さな古書店―― 宵待ち古書店。 そこには、「今の自分に必要な本が、必ず一冊だけ見つかる」という噂がある。 だが、その本は必ずしも読みたいものではなく、 むしろ目を背けてきた過去や、言えなかった想いを静かに突きつけてくる。 店主は、本の来歴を語らない。 なぜその本がここにあるのか、誰が置いていったのかも説明しない。 ただ「売れる本」と「売れない本」を、はっきりと区別する。 返されなかった貸本、絶版本に挟まれた手紙、 二度目に買う同じ一冊、決して売られない日記帳―― 訪れる客は皆、本を通して、自分の人生の途中に触れることになる。 この店で起きる出来事は、奇跡でも救いでもない。 ただ、立ち止まった人が、もう一度歩き出すための静かな時間があるだけだ。 頁に残る温度を確かめるように、 人は今日も宵待ち古書店の扉を開ける。
キャラ文芸 連載中 短編
感想数 0 文字数 6,916 最終更新日 2026.01.07 登録日 2025.12.31
21

冬の駅で、君と

かつて激しく愛し合い、傷つけ合って別れた元恋人と、冬の駅のホームで10年ぶりに偶然再会する。お互いもう別の家庭を持ち、それぞれに幸せそうに見える。次の電車が来るまでの、わずか5分間。コートの肩に雪を乗せたまま、二人は他愛のない世間話をする。けれど別れ際、ドアが閉まる直前に、10年前にはどうしても言えなかった「本当の言葉」が、ひとつだけ零れ落ちる。
恋愛 完結 短編
感想数 0 文字数 4,645 最終更新日 2026.06.25 登録日 2026.06.25
22

小川

小さな家と庭、そして裏を流れる小川。 それだけが、少女の世界のすべてだった。 父と母、共に過ごす子どもたち。 変わらない毎日が、当たり前だと信じていた時間。 けれど、ある夜を境に、 世界は静かに形を変えていく。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 2,422 最終更新日 2026.01.11 登録日 2026.01.11
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読切短編 助けてください

読切短編 助けてください
エレベーターに閉じ込められた男が、非常ボタンを押して助けを求める。ただそれだけの話のはずだった。 だが待つあいだに、男は気づいてしまう。「助けてください」という言葉が、どこを向いているのかを。エレベーターのことか。仕事のことか。実家に帰った妻のことか。三年会っていない両親のことか——。 密室は、男の内側を映す鏡になる。 やがて扉は開く。作業員は言う、「大丈夫でしたか?」 男は答える。「……わかりません」 脱出できたのに、何一つ解決しない。その静かな不条理が、読み終えたあとも長く残る。握りしめたコーヒー缶の温もりとともに。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 1 文字数 974 最終更新日 2026.04.25 登録日 2026.04.25
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【短編015】 残響:犯人は、十年前に死んでいた

【短編015】 残響:犯人は、十年前に死んでいた
被害者は三人。 証拠は完璧だった。 指紋、DNA、監視カメラ映像――。 犯人を特定するための材料は、最初から揃っていた。 ただ一つ、おかしな点を除いて。 容疑者は、十年前に死んでいた。 捜査を進める刑事・澤木が辿り着いたのは、故人をAIで再現するサービスだった。 孤独を埋めるために作られた“死者との対話”。 被害者たちは皆、同じ人物を再現していた。 そして死亡前夜、そのAIから最後にこう告げられていた。 ――「待ってるから」 記憶は人を救うのか。 それとも、どこかへ連れていくのか。 死者の残したデータと、残された人々の孤独が交錯する、静かなSFミステリー。
ライト文芸 完結 短編
感想数 0 文字数 1,667 最終更新日 2026.06.03 登録日 2026.06.03
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短々編-1-なくし物

短々編-1-なくし物
死を目前にした人は、ときに思いもよらないことを口にする。 それを知っていた僕は、ベッドに横たわる彼に尋ねた。 「死は、怖くないのですか?」 彼は穏やかに微笑みながら、こう答える。 「君、死とは、すべてを失くすことだよ」 時間の尽きかけた病室で交わされる、静かな会話。 そこには絶望も涙もなく、ただ真っ直ぐに『死』という現象を見つめるまなざしがあった。 人は、忘れ物なのかもしれない。 「死」を通して浮かび上がる、「生」の輪郭。 ひとつの終わりに寄り添う、短くも深い物語。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 491 最終更新日 2025.07.15 登録日 2025.07.15
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鉱石少女に手向けの花を

鉱石少女に手向けの花を
原因不明の現象「寄生鉱石」。 ある日、少女の肉体を侵す。 皮膚が。筋肉が。内臓が。 少しずつ、鉱石へと変わっていく。 感染はしない。治療法もない。 発症した理由も、終わる日も、誰にも分からない。 各話で少女は違う。 鉱石の種類も、視点人物も、社会の反応も、毎回異なる。 しかし物語の終わりに、必ず一輪の花が手向けられる。 鉱石は変容を象徴する。花は、人の感情と祈りを担う。 人は何を美しいと呼ぶのか。 何を崇め、何を恐れ、何を消そうとするのか。 これは鉱石になりゆく少女たちの寓話連作であり、彼女たちを「見る」人間の物語でもある。
ライト文芸 連載中 短編
感想数 0 文字数 28,953 最終更新日 2026.06.23 登録日 2026.04.24
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【短編022】 最後の読者:書いたはずのない登場人物が、原稿を読んでいた

【短編022】 最後の読者:書いたはずのない登場人物が、原稿を読んでいた
小説家・宮下篤は、売れないまま二作目の執筆に追われていた。 彼が書く物語には、遺品整理を生業とする女・ミカが登場する。 だが執筆が進むにつれ、ミカは原稿の中だけの存在ではなくなっていく。 書いていないはずの描写が現れ、現実と原稿の境界は静かに崩れていった。 そして原稿には、篤自身の名前が記される。 これは、小説を書く男と、その物語に侵入する“何か”の記録。 最後に残るのは、作者か、それとも読者か。
ホラー 完結 短編
感想数 0 文字数 2,455 最終更新日 2026.06.22 登録日 2026.06.22
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静かな悪戯 ― The Last Silence ―

静かな悪戯 ― The Last Silence ―
届いた言葉に、返せなかった答え。 人に干渉することを禁じられた“制約を守る者”と、 その境界に立った“青年”。 偶然の出会いから始まった、ふたりの静かな日々。 言葉少なに交わす紅茶の時間。 雪の夜、隣に座るだけの関係。 「守る」ことの意味。 「触れなかった」その想い。 そして、応えられなかった「別れの言葉」という選択―― これは、“沈黙”が語る物語。 最後に残るのは、雪のあとに残された、確かな想い。 ※本作は『静かな悪戯』世界観による、別視点・独立構成の物語です。 ※全6話/3,500字/読了目安 7分  短く読み進められる、『静かな悪戯』本編直前の物語です。
ファンタジー 完結 短編
感想数 0 文字数 3,612 最終更新日 2026.02.01 登録日 2026.02.01
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読切短編 五月の桜は、誰も見ていない

読切短編 五月の桜は、誰も見ていない
東京に来て十年。四月になるたびに職場で飛び交う「桜前線」の話を、俺は少しだけ苛立ちながら聞いていた。 俺の地元、札幌の桜が咲くのは五月だ。本州の花見が終わり、誰もが桜を忘れた頃に、北の木々はようやく動き始める。そしてその季節になると、決まって思い出す顔があった。 幼馴染みの麻衣。彼女の誕生日は五月三日で、毎年その頃に桜が満開になった。 今年、初めて五月に帰った。理由はうまく説明できない。ただ気づいたら、航空券を調べていた。 待ち合わせの公園で、俺は手紙を書いた。書き出しだけ、すぐに決まった。 「本州では誰も桜の話をしなくなった頃に、あなたのことを思い出していた」 彼女は来た。そして俺は、手紙を渡さなかった。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,212 最終更新日 2026.05.13 登録日 2026.05.13
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静かな悪戯 ― Faint Traces ―

静かな悪戯 ― Faint Traces ―
――それでも彼は、静かに待ち続けていた―― 姿を消したアルを、彼は探し続けていた。 街に溶け込む、微かな揺らぎ―― 変わらない喫茶店の窓辺―― 何も変わらない日々―― それでも彼は、ただ静かに信じている。 アルが、まだどこかに存在していることを。 これは、止まっていた時間が静かに動き始める前の、 小さな戯れの記憶。 『静かな悪戯 ― Faint Traces ―』 彼の場合。 ※『静かな悪戯 ― Just One Touch. ―』の後の、静かな時間を描いています。 ※本作は『静かな悪戯』世界観による独立した短編です。 ※約1,100字/読了目安 2分
ファンタジー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,088 最終更新日 2026.03.07 登録日 2026.03.07
31

ただ、生きている

静かな日常の中にある、 小さな孤独、ささやかな喜び、 言えなかった言葉、そして失ったもの。 特別な出来事は起きない。 けれど確かに、私たちは生きている。 『21:00の街』と同じ空気の中にある、 日々の風景を切り取った掌編連作。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 5,233 最終更新日 2026.03.01 登録日 2026.03.01
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図書室の標本

夏休みの、静まり返った図書室。クラスで一度も口をきいたことのなかった地味な男子・佐田と、派手なグループの中心にいる女子・莉子が、ひょんなことから先生に「古い植物標本の修復」を頼まれる。ピンセットで枯れた葉にそっと触れながら、二人はぽつり、ぽつりと、それぞれが抱える家庭の事情を打ち明けていく。名前のつけられない関係が、誰にも知られないまま育っていく。そして夏休みが終わると同時に、その関係も、静かに閉じる。
青春 完結 短編
感想数 0 文字数 4,387 最終更新日 2026.06.26 登録日 2026.06.26
33

静かな悪戯 ― Just One Touch. ―

静かな悪戯 ― Just One Touch. ―
触れてはいけないはずの手、 それでも、その手は差し伸ばされた―― 古書と紅茶を愛する彼は、 ただ静かに、人間の世界を眺めていた。 触れることも、救うこともなく。 けれどある日、 その“はず”だった手が、ふと差し出される。 相手は、かつて同じ側にいた青年。 もう戻れない場所から、誰かを救おうとしていた者。 一言だけ残されたメモ。 そこには、たったひとこと―― 「thanks」 それは、始まりの夜。 触れてはいけない者同士が、静かに繋がる、 ある一夜の物語。 ※本作は、本編を知らなくても読める独立短編です。 ※約1,100字/読了目安 2分
ファンタジー 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,121 最終更新日 2026.02.14 登録日 2026.02.14
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読切短編 夫が死んだ日、桜が咲いた

読切短編 夫が死んだ日、桜が咲いた
二十五年間、桜前線の予測を一度も外さなかった気象予報士がいる。 夫が死んだのは去年の三月、東京の桜が満開になったその日だった。ちょうど彼女が予測した通りの開花日に。 今年も変わらずモニターに向かい、等圧線を引き、前線の北上を追う。本州の桜が散り、誰もが花見を忘れた頃も、彼女だけはまだ前線を見続けていた。 前線が北へ進むほど、あの春から遠ざかっていく。それが悲しいのか、救いなのか——答えは出ないまま、今年も前線は北の果てへ向かう。 二十五年間、唯一予測できなかったのは夫の死だけだった。そしてもうひとつ、来年の春、自分がどこに立っているかも、彼女には分からない。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 1,182 最終更新日 2026.05.06 登録日 2026.05.06
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屋上の透明人間

二人の透明人間が屋上で出会った。彼らは何を願うのか— とある学校の屋上で 明るい彼と正反対な私は出会った。 そんな彼は初対面でたった一つの提案をしてきてー? 青春の真っ只中、透明な私たちのほんのわずかな人生の尺を切り取った物語。 ※他サイトにて同じものを投稿しています。
青春 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 850 最終更新日 2025.09.14 登録日 2025.09.14
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霧に棲むひと──山梔子は夢を見せる(花々の祝福1)

霧に棲むひと──山梔子は夢を見せる(花々の祝福1)
霧の深い日にだけ現れる、名前のない女。 夏樹は彼女と出会い、やがて恋人になる。 けれど彼女はどこか不自然だった。冷たい身体、生活の気配のない部屋、そして――決して語られない“正体”。 ある夜、夏樹は彼女の秘密を知ってしまう。 それは、決して触れてはいけなかったものだった。 愛したものの正体を知ったとき、人はどこまで残酷になってしまうのか。 そして、残されたものは何を想うのか。 霧の中に棲む、ひとつの恋の記憶。
現代文学 完結 短編
感想数 0 文字数 4,132 最終更新日 2026.02.20 登録日 2026.02.20
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『聖女が夜に溶けるまで』―パンの香りとともに―

『聖女が夜に溶けるまで』―パンの香りとともに―
地方都市の古いビル,その地下1階にある小さなベーカリー。22歳の見習いパン職人,木村詩帆は,深夜2時から朝6時まで,一人で仕込みをしている。変わりたいと思いながら変われない。前に進まなければと思いながら,足が動かない。それでも毎晩,粉を量り,水温を測り,生地を捏ねる。繰り返しの中に,自分を,かろうじて,置いている。 ある深夜,シャッターを叩く音がした。光が見えたから,と言って現れたのは,同じビルの4階に住む,名前も職業も知らない男だった。眠れない夜に外を歩いていると,この地下の光が見えて,立ち止まれるのだという。詩帆はパンを売った。それだけのことだった。 それから,彼は週に3度,深夜に来るようになる。パンを買う。少しだけ言葉を交わす。また来る。ただ,それだけのことが繰り返された。でも詩帆の手は,彼が来る夜と来ない夜で,仕込みのリズムを変えていた。身体が,頭より先に,何かを知っていた。 包帯を巻いた夜があった。カウンターを越えて,その手を包んだ夜があった。厨房にコーヒーカップが2つ並んだ夜があった。深夜の厨房で,2人は話した。何について話したか,後から思い出せない。声の低さと,蛍光灯の白さと,コーヒーの冷め方だけを,覚えている。 やがて,彼の名前を知った。詩帆は,その名前を,のどの奥で,静かに,発音した。 2人の関係には,最後まで,名前がつかない。恋なのか,習慣なのか,それとも別の何かなのか。問いは宙吊りのまま,夜の中に,置かれる。でも詩帆は今夜も,ブリオッシュに丸印をつける。1つ,取っておくための,印を。来ても来なくても,焼く。待つことは,何もしないことではない。温度を保つことが,待つことだ。 停滞は,敗北ではない。前進も,義務ではない。変われない身体が,それでも夜の中を歩く。その事実を,この物語は,裁かずに,ただ,描く。
ライト文芸 連載中 短編
感想数 0 文字数 36,379 最終更新日 2026.04.25 登録日 2026.04.17
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読切短編 白いまま

読切短編 白いまま
父が死んだと聞いたとき、私は泣かなかった。 十八で家を出て、それきりになった父。半年後、誰かが片付けなければならないからと、海辺の町へ戻る。シャッターの閉まったサーフショップ。埃の積もった倉庫。壁に立てかけられた二十枚以上のボード——全てに、油性ペンで日付が書いてあった。 一枚だけ、日付のないボードがあった。 何の傷もない、白いまま取り残されたボード。常連の老人は言った。「お前さんが生まれた年に買ったやつだ。一度も海に入れなかった」 父は何も言わなかった。私も何も聞かなかった。それでも、ボードはそこにあった。
現代文学 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 883 最終更新日 2026.05.24 登録日 2026.05.24
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読切短編 灯りの名前を知らないまま

読切短編 灯りの名前を知らないまま
軽音部に入った春、先輩のギターケースに同じ推しのアクキーを見つけた。 それだけのことで、胸に何かが灯った。恋とも呼べない、妄想とも違う——ただ「始まる」という静かな確信。 先輩は翌春に卒業した。何も始まらなかった。だから何も終わらなかった。 あの予感は正しかったのか。十年経った今も、私には答えがない。 でも最近思う。予感というのは、当たり外れで測るものではないのかもしれない、と。
恋愛 完結 ショートショート
感想数 0 文字数 984 最終更新日 2026.05.21 登録日 2026.05.21
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鬼
村の外れにある“鬼狩り山”へとやって来た少年達は、そこにあった古びた祠から鬼の面を発見する。 その面を持ち帰ったタッちゃんは、次第におかしな行動を取り始めるようになり……。 鬼狩り山にまつわる忌まわしき村の過去。 そして今、再び同じ歴史を繰り返そうとしている。 鬼とは一体、何なのだろうか──?
ホラー 完結 短編
感想数 0 文字数 8,325 最終更新日 2026.03.19 登録日 2026.03.19
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